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 日経デジタルヘルスが実施したデジタルヘルス関連ベンチャー103社へのアンケート調査で、注目のデジタルヘルス関連ベンチャーのランキングが明らかになった。1位は治療用アプリで注目を集めるCureApp(東京・中央)。同社は2年連続の1位である。

ベンチャーが選ぶデジタルヘルス関連ベンチャートップ10
順位企業名
1位CureApp
2位カケハシ
3位MICIN
4位T-ICU
5位Ubie
6位アルム
6位エルピクセル
8位asken
8位メロディ・インターナショナル
10位Rehab for JAPAN

 2位は薬局のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援するカケハシ(東京・中央)で、3位はオンライン診療システムを手掛けるMICIN(マイシン、東京・千代田)だった。上位企業について、選定理由のコメントを合わせて紹介していく。

■ランキングの概要
日経BPが2020年10月に発行した専門リポート「デジタルヘルス未来戦略 ウィズコロナ編」に掲載した103社のデジタルヘルス関連ベンチャーに対し、2020年7~8月にアンケートを実施。「自社以外のデジタルヘルス関連ベンチャー/スタートアップで注目している企業(上位3社)」を挙げてもらった。1位は5点、2位は3点、3位は1点として集計し、ランキング形式にまとめた。

1位:CureApp

 CureAppは2年連続で1位となった。同社が開発を進めてきた治療用アプリが国内初の薬事承認を得て保険適用になるのか、その行方に注目が集まっていた。治療⽤アプリはソフトウエアを活⽤して病気の治療を目指すもので、海外では既に実用化されている。一方、⽇本で承認申請をしたのはCureAppが初めてだった。

 CureAppは2014年7月の創業。2017年10月にニコチン依存症の治療用アプリの治験を開始し、2018年12月に完了した。2020年8月に厚生労働省からニコチン依存症の治療用アプリの薬事承認を得て、2020年11月に中央社会保険医療協議会(中医協)で保険適用が了承された。これにより日本でも既存の治療法とアプリを併用して病気を治療する時代が到来した。

 「国内初、治療用アプリで薬事承認を得た」「治療用アプリという新分野でユニークな存在。学術的なエビデンスをしっかり出している」「治療用アプリの今後の動向に注目している」――。アンケートに答えたベンチャーからは国内初の事例になったことへの評価や治療用アプリの今後について期待する声が多く挙がった。

 2年連続で注目ベンチャーの1位に選ばれたことに対して、CureAppの佐竹晃太CEO(最高経営責任者)は、次のようなコメントを寄せた。

CureAppの佐竹晃太CEO(最高経営責任者)兼医師
CureAppの佐竹晃太CEO(最高経営責任者)兼医師
(出所:CureApp)
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 「前回に続き注目企業として選出いただき、心より感謝申し上げます。大変光栄に、そしてうれしく存じます。当社のニコチン依存症治療用アプリ『CureApp SC』は、2020年に国内で初めての治療用アプリとして薬事承認と保険適用を受け、2020年12月から医療機関での処方が始まりました。

 様々な方のご支援のおかげで、創業以来掲げてきた『アプリで治療する未来を創造する』というビジョンに向けて、大きな一歩を踏み出すことができました。2021年は、『CureApp SC』の医療現場への浸透、さらに1人でも多くの患者様にデジタル療法をお届けすることを目指して参ります。

 また、高血圧・NASHといった生活習慣病領域での治療用アプリについては臨床試験を順調に進めており、さらにアルコール関連問題やがんといった新たな領域での治療用アプリの研究開発も開始しました。

 新型コロナ禍で人々の生活は大きく変化し、デジタルを用いた医療にますます注目が集まっています。治療用アプリを用いたデジタル療法は、患者様の行動変容を促し既存の治療では難しかった疾病に対して高い治療効果を発揮するのはもちろんのこと、高騰する医療費や医療格差といった医療の社会課題を根本的に解決できる可能性を秘めています。

 今後もより多くの患者様へこの新しい治療法『治療用アプリ』を届けることを目指し、従業員一丸となって取り組んで参りたいと思います」。