グローバルで3600億円規模*の市場のある、感情分析サービス市場でトップシェアを目指す――。NECは、こうした目標を掲げて、2021年に感情分析サービスという未踏の分野に参入する。その1つとして遠隔コミュニケーションに感情分析を組み込んだサービスを投入する計画だ。
NECがこうした取り組みを進めるのは、人間の感情をくみ取る技術が大きく進展し、社会の受容性を含め、サービス展開が可能になったためだ。技術の面では、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)などの技術の発展により、行動や表情、生体情報などをセンシングし、そのデータを組み合わせることで感情が推定できるようになってきている。また、ユーザー側もパーソナル化された情報を受けることに不快感を示さなくなってきている。
「感情データ」は新たな経済圏を生む。例えばユーザーの感情を利用し、職場で仕事へのやる気を引き出したり、学校で勉学に悩む学生を支援できたりする可能性がある。そうなれば、一気に生産性が向上する。既にさまざまな企業がこの商機をつかもうと動いている。
例えばオムロンも感情推定技術の開発を進める1社だ。感情推定技術を搭載する卓球ロボット「フォルフェウス(FORPHEUS)」(第6世代)を生み出した。同ロボットが搭載するカメラで顔の表情・心拍数などをセンシングすると、ロボットの対戦相手の感情を捉えられるようにした。これによって対戦相手が返球に困っているのか、それともラリーが簡単過ぎて退屈なのかなどを判断し、同ロボットは球の速度や返球位置などを調整して対戦相手のモチベーションを高めるようになっている。この開発が進めば人間の刺激を調整することで、仕事などで人間の成長を促せる可能性もある。