政府は医療従事者らが2021年2月下旬から新型コロナワクチンを接種できるよう準備を進めている。接種回数は1人2回で、接種費用は全額公費(無料)だ。ゆくゆくは誰もが平等に接種できるようにする必要がある。
「新型コロナウイルスのワクチン接種の管理にマイナンバーを活用すべきだ」。政府の動きに対し、平井卓也デジタル改革相は2021年1月19日の記者会見でこう述べ、マイナンバーを利用して接種記録などを管理する方向を示した。接種した個人がマイナンバーカードを提示する必要はない。自治体が接種者の情報をやり取りする際にマイナンバーを使えるようにする仕組みだ。
マイナンバーを活用した情報連携、医療者は歓迎
現在、予防接種法に基づく予防接種の実施は、市町村といった基礎自治体が担い、接種記録の管理もそれぞれの自治体が担当している。ただ、その台帳は自治体独自であり入力項目などもバラバラだ。
こうした現状に対して医療者の多くは、国が接種歴を管理する仕組みをつくることを歓迎する。「そもそも接種履歴などのデータは(国が)一括して管理すべきだった」と、感染症対策コンサルタントで東京都看護協会危機管理室アドバイザーの堀成美さんは指摘する。
接種した本人にとっても、自身や家族の接種歴を確認しやすくなりメリットが大きいからだという。転居などで接種歴を追えなくなる課題も解消される。
実は予防接種法に基づく予防接種では、2017年11月から自治体同士がマイナンバーを使って接種歴をやり取りし、マイナンバー制度の個人向けサイトである「マイナポータル」経由で住民が自分の接種歴などを確認できるようになっている。ただ、現在までにどの程度の自治体がこの情報連携を実施しているかについて、厚生労働省予防接種室は「把握していない」という。
マイナンバーを使って他自治体と接種歴を情報連携しているある自治体の関係者は「新型コロナワクチン接種の情報もデータ標準レイアウトを定めて、連携すべきだ」とする。データ標準レイアウトとは、異なる自治体などの間でマイナンバーを使って事務手続きができるように必要なデータ項目を定めたものだ。