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 悪天候や燃料高騰により電力逼迫が懸念されている。大量の電力を使うデータセンターやクラウドサービスは大丈夫なのか。日経クロステックは大手事業者に緊急の聞き取り調査を実施した。デジタル変革を急ぐ企業や社会にとって安定した電力調達は大前提だけに、各社は対策に力を注ぐ。

データセンター各社は電力逼迫に備えて対策を施している(千葉ニュータウン中央駅周辺のデータセンター向けとみられる建物)
データセンター各社は電力逼迫に備えて対策を施している(千葉ニュータウン中央駅周辺のデータセンター向けとみられる建物)
(撮影:日経クロステック)
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 電力逼迫を象徴するのが、電力を市場価格で取引する日本卸電力取引所(JEPX)の高騰。ただ、足元ではJEPXでの電力取引価格の高騰がデータセンター(DC)事業者に与える影響はそれほど大きくなさそうだ。DC事業者は一般的に市場連動型の電力事業者を利用していないからだ。英Colt Group(コルトグループ)のColtテクノロジーサービスは今回のような事態を想定して「JEPX連動型の事業者とは契約をしないこととしている」という。都市型DCを展開するアット東京は、電力事業者と複数年度での固定価格(基本料金・従量料金(燃料費調整単価を除く))で契約しているため、現時点で卸電力価格の高騰の直接の影響はないという。

広域停電や将来の料金上昇にも備え

 電力需給の逼迫による広域停電のリスクにも対応済みだ。米Equinix(エクイニクス)の日本法人で執行役員を務めるIBXオペレーションズ本部の齋藤晶英氏は「無停電装置や非常用発電機、48時間以上の備蓄オイルならびに複数拠点からの燃料供給対策を施している」と説明する。Coltテクノロジーサービスやアット東京も同様の施策を講じているという。

 DC各社は将来的な電気料金の上昇リスクにも備える。「脱炭素化の推進や化石燃料の枯渇、地政学的リスクなどから、今後は電気料金が上昇するリスクがあるものと認識している」(アット東京)からだ。このため各社は既設機器の運転効率化や高効率機器へのリプレース、電力事業者との契約見直しなど、リスクの低減に向けた取り組みを進めている。エクイニクス日本法人の齋藤氏は「電力コストはDC事業にとって比重の高いコストなので、コスト単価の予測を細かく分析して通年予算にどのような影響が見込まれるかを織り込んで対応する」と話す。

電力逼迫へのデータセンターやクラウド事業者の対策の例
企業名対策の例
ColtテクノロジーサービスJEPX連動型ではない事業者から電力を調達
アット東京固定価格で複数年度の電力調達契約を締結
インターネットイニシアティブ白井データセンターでは東京電力と計50メガワットの特別高圧電力の受電契約を締結
エクイニクス日本法人無停電電源装置や非常用発電機、燃料の十分な備蓄などの対策を徹底
日本マイクロソフト各データセンター内に補助電源装置を設置し、各装置を多重化