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 米Intel(インテル)は、2020年第4四半期と通年の決算を米国時間の2021年1月21日に発表した(ニュースリリース)。オンラインの決算説明会には、現CEOのBob Swan(ボブ・スワン)氏と共に、次期CEOのPat Gelsinger(パット・ゲルシンガー)氏も登場した*1。21年2月15に就任予定とは言え、現在、Gelsinger氏は米VMware(ヴイエムウェア)のCEOを務めている。他社CEOが決算説明会に登場という異例な事態の背景には、Intelの製造プロセスの開発遅れに対する市場の強い危機感がある。その危機感を払拭するように、Gelsinger氏は7nmプロセス(台湾TSMCや韓国Samsung Electronics(サムスン電子)の5nmプロセスと同等の微細化)でのMPU(マイクロプロセッサー)量産を予定通りに23年に始めることや、自社でチップを製造するIDM(Integrated Device Manufacturer)体制の維持することを明言した。

次期CEOのPat Gelsinger氏(左)と現CEOのBob Swan氏(右)が一緒に決算説明会に参加
次期CEOのPat Gelsinger氏(左)と現CEOのBob Swan氏(右)が一緒に決算説明会に参加
(出所:Intel)
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 Intelの2020年通年の売上高は779億米ドル(約8兆800億円)だった。前年比8%増で、5年連続して過去最高を記録した。米Gartner(ガートナー、ニュースリリース)や米IC Insights(ニュースリリース)などの市場調査会社によれば、Intelは2018年の売上高ではSamsung Electronicsに首位の座を追われたものの、19年には首位に復帰し、20年もそのポジションを維持した。コロナ禍によるテレワークの増加などによる旺盛な半導体需要が追い風になったとみられる。サーバー向けMPU「Xeon」を扱うDCG(Data Center Group)の売上高は前年比11%増加、PC向けMPU「Core」を扱うCCG(Client Computing Group)は同8%増加した。

Intel全体の2020年第4四半期(左)と通年(右)の決算
Intel全体の2020年第4四半期(左)と通年(右)の決算
(出所:Intel。日経クロステックが2つの表から重要部分を抜き出して合成)
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主な事業の2020年第4四半期(左)と通年(右)の売上高
主な事業の2020年第4四半期(左)と通年(右)の売上高
(出所:Intel)
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 ただ、Intelが絶好調かと言えば、そうではない。競合の米AMD(Advanced Micro Devices)がIntelよりも速いピッチで売り上げを伸ばしているからだ。AMDが21年1月26日に発表した20年通年の売上高は前年比で45%伸びて、過去最高を記録した(ニュースリリース)。増加率はIntelの5倍以上だ。2019年のIntelの売上高はAMDの10.7倍だったが、2020年は8.0倍にまで縮まった。AMDの躍進に寄与しているのが、製造を台湾TSMCに委託して、Intelより微細なプロセスの製品を提供していることだ。

 現CEOのSwan氏は、20年7月の第2四半期決算発表会において、7nmプロセスの開発の遅れを認めると共に、自前プロセスにこだわらない方針を打ち出した*2。これによって、「いよいよ、Intelも製造から手を引き、製造をファウンドリーに委託するファブレス企業になる」という噂が広まった。同年8月にオンライン開催された「Intel Architecture Day 2020」で見せたスライドがその噂の信ぴょう性を高めた*3。Intelが7nmで最初に製造すると早くから宣言していた次世代GPUチップ「Ponte Vecchio(開発コード名)」に関するスライドで(下図)、心臓部と言える「Compute Tile」を外部プロセスで製造する可能性を示した。

GPUチップの開発状況と製造プロセス
GPUチップの開発状況と製造プロセス
Intelが20年8月の「Architecture Day 2020」で見せたスライド。ハイエンドの「Ponte Vecchio(開発コード名)」では心臓部と言える「Compute Tile」の製造に、自社の先端プロセス(7nmプロセス)と外部のプロセスが挙げられている。(出所:Intel)
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