米Apple(アップル)のパソコン「Mac」シリーズの販売が好調である。けん引役は、独自プロセッサー(SoC:System on a Chip)「M1」だ。日経クロステックは、M1搭載3機種の性能試験や分解を通じて実力を分析した(図1)。「MacBook Air」のコスパの良さが際立つ。13型「MacBook Pro」の半額ほどの「Mac mini」が、Pro並みの性能に達していた。
M1搭載Macが登場した20年第4四半期(10~12月)のアップルのパソコン出荷台数は、米IDCによれば約735万台と、前年同期比49.2%増だった(表1)。ノート型のAir、13型のPro、デスクトップ型のminiの3機種が、いずれも高い演算処理性能を実現しながらも安価で、「コストパフォーマンス」の良い機種として人気を博した格好だ。
M1搭載Mac3機種のうち、Airとminiでは標準の最安モデルを調査した注1)。メインメモリー(主記憶)の多寡による影響を調べるために、Proについては同メモリーを標準の8Gバイトから16Gバイトに増設し、ほかは標準の最安モデルと同じ構成にした。価格は、Airが999米ドル、Proが1499米ドル、miniが699米ドルだ(表2)。
まず、ベンチマークソフトでこれら3機のCPU(中央演算処理装置)とGPU(画像処理半導体)の演算処理性能を調べた。20年11月にM1に対応したドイツMaxon Computerの「Cinebench Release 23(R23)」とカナダPrimate Labsの「Geekbench 5」を利用した注2)。いずれも、独自の「スコア」として演算処理性能を算出し、値が大きいほど優れる。
ベンチマークの結果、CPUとGPUのいずれもM1搭載Mac3機種で大差ない。Airのコスパの良さが光るものの、やや劣る結果がAirには2つあった(表3)。同じM1を搭載しながら、なぜ差が生じるのか。