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 メルセデス・ベンツ日本は2021年1月28日、旗艦セダン「Sクラス」を全面改良して発売した(図1~3)。同社社長の上野金太郎氏が「乗員に寄り添う技術を多く搭載した」と語るように、安全機能の強化や直感的なHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の採用、操作性の向上など、幅広い領域を刷新した。

図1 8年ぶりに全面改良した新型「Sクラス」
図1 8年ぶりに全面改良した新型「Sクラス」
価格は1293万~2040万円。(出所:メルセデス・ベンツ日本)
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図2 プレスラインを減らしたシンプルな外観デザイン
図2 プレスラインを減らしたシンプルな外観デザイン
空気抵抗係数(Cd値)は0.22と小さい。(出所:メルセデス・ベンツ日本)
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図3 ディスプレー中心のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)
図3 ディスプレー中心のHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)
中央部には縦型で12.8インチの有機ELディスプレーを搭載。メーター部は12.3インチの液晶ディスプレーを配置した。対話型インフォテインメントシステム「MBUX」を備える。(出所:メルセデス・ベンツ日本)
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 8年ぶりに刷新した新型Sクラスで目立つのが、「Sクラスのコアバリューの中で最も重要」(同氏)と位置付ける安全機能である(図4)。注目すべきは、衝突を回避する先進運転支援システム(ADAS)の改良だけでなく、衝突後の被害を軽減するパッシブセーフティーの機能も高めた点である。

図4 メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎氏
図4 メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎氏
新型Sクラスの発表会をオンラインで開催した。(出所:メルセデス・ベンツ日本)
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 それが、後席の乗員の安全を守るために前席シートの裏側に搭載した「SRSリアエアバッグ」である。ドイツMercedes-Benz(メルセデス・ベンツ)で安全運転機能の開発を担当するヨッヘン・ハープ氏によると、「首や頭部への負荷を最大で30%低減できる」という。後席の左右にリアエアバッグを搭載するのは「世界初」(メルセデス・ベンツ)である。

 SRSリアエアバッグは、前席用のエアバッグと構造が大きく異なる。前席用は丸い風船のようなエアバッグが衝突時に展開されて、すぐにしぼむ。一方のSRSリアエアバッグは、頭部を包み込むような構造を採用し、エアバッグが膨張した状態を維持する(図5)。

図5 後席用のSRSリアエアバッグ
図5 後席用のSRSリアエアバッグ
様々な年齢や体格の人が座る後席に対応できるように構造を工夫した。衝突から時間が経過しても膨らみ続ける。(出所:メルセデス・ベンツ日本)
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 具体的には、エアバッグの骨格部分となる外側をチューブ状にしてインフレーターで強く膨張させる一方で、その内側となる中央部は周囲の空気を取り込んで柔らかく膨らむ。この構造を採用した理由は、「チャイルドシートの子供から大人まで、幅広い年齢層や体格の乗員に対応するため」(ハープ氏)である。

 ADASに関しては、センサーを追加して検知能力を高めて衝突を回避できる条件を増やした。新型Sクラスには、5個のミリ波レーダーと1個のステレオカメラ、4個の単眼カメラ、12個の超音波センサーを備える。

 緊急自動ブレーキは、交差点や曲がり角での右左折の際に、対向、飛び出し、巻き込みなどにより、自動車や自転車、歩行者と衝突する危険がある場合に作動するようにした。横断歩道での衝突をステアリング操作の補助によって回避する「緊急回避補助システム」は自車と同じ方向や反対方向に進む歩行者や自転車を含む車両も検知するようにした。

 停止時にドアを開けようとした際に、後方から障害物が迫っている場合の警告機能を採用した。2km/h以上で後方から歩行者や自転車、自動車などが近づいている場合、ドアミラー外側にある警告表示灯が赤く点灯。さらに、乗員がドアハンドルに手をかけようとする動作を検知し、車内の照明を光らせて警告する。