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 米Qualcomm Technologies(クアルコムテクノロジーズ)とアルプスアルパインは、トンネルや屋根の付いた駐車場などGNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)*1の受信が困難な環境下でも、自車位置を低コストかつ高精度に測位できるシステム「ViewPose」を共同で開発する(図1)。GNSSによる自車位置測位システムの精度向上や補完を可能にするもので、先進運転支援システム(ADAS)に使われる前方カメラと、電子ミラー用の後方カメラを組み合わせて実現する。

図1 GNSSの受信が困難な環境下でも車線レベルでの自車位置測位を可能とするシステムを開発へ
図1 GNSSの受信が困難な環境下でも車線レベルでの自車位置測位を可能とするシステムを、クアルコムテクノロジーズとアルプスアルパインが共同開発へ
クアルコムテクノロジーズのオンラインイベント「Automotive Redefined: Technology Showcase」で発表した。画像はプレゼンテーション画面をキャプチャーしたもの。
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*1 GNSS(Global Navigation Satellite System、全球測位衛星システム)とは、米国のGPS、日本の準天頂衛星システム(QZSS)、ロシアのGLONASS、欧州連合(EU)のGalileo、中国のBeiDouといった衛星測位システムの総称。

 アルプスアルパインによれば、ViewPoseは「2024年の新車種への搭載を目指して開発を行っている」もの。クアルコムテクノロジーズは、車線レベルでの自車位置測位が可能であり、3次元レーザーレーダー(LIDAR)を利用した測位技術と比べてコストを数分の1に抑制できるとしている。

 アルプスアルパインでは、クアルコムテクノロジーズのデジタルコックピット向けSoC(System on Chip)「Snapdragon Automotive Cockpit Platform」(第3世代品)を用いて電子ミラーを開発している。その電子ミラーに、クアルコムテクノロジーズのソフトウエア「Vision Enhanced Precise Positioning(VEPP)」を適用することで、ADASの前方カメラと電子ミラーの後方カメラによる画像から自車位置を高精度に測位する技術を実現する。VEPPは、GNSSやカメラ、慣性計測装置(Inertial Measurement Unit、IMU)、車輪センサーといった様々なセンサー情報を組み合わせることで、自車位置測位の精度を高められるソフトだという。

 これらのクアルコムテクノロジーズの技術・製品に加え、ViewPoseでは、前記のSoCに実装可能なカメラなどのセンサー情報を処理する技術「Snapdragon camera-based sensor platform」や、5G(第5世代移動通信システム)やLTEによるV2X通信*2とマルチGNSS*3に対応した自動車向けプラットフォーム「Snapdragon Automotive 5G Platform」といったクアルコムテクノロジーズの技術・製品も活用する。アルプスアルパインは、単に電子ミラーやViewPoseのシステムを開発するだけではなく、さらにViewPoseで得られた自車位置情報を用いる各種のアプリケーションの開発も担う。

*2 V2X(Vehicle to Everything)通信とは、車車間(Vehicle to Vehicle、V2V)、路車間(Vehicle to Infrastructure、V2I)、車両-歩行者間(Vehicle to Pedestrian、V2P)、車両-ネットワーク間(Vehicle to Network、V2N)など、車両と様々なものとの通信を指す。運転者や自車に搭載したセンサーには感知できない情報を外部から得られるため、安全性を向上できる上、交通効率の改善も期待できる。
*3 複数のGNSSのデータを組み合わせて、高精度な位置情報を短時間に取得できるようにするのがマルチGNSS。