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メイン基板はきれいな長方形

 X形の板バネを留めている4つのネジを外すと裏側にあったヒートシンクが外れ、メイン基板が取り外せるようになる。メイン基板上のSDRAMの位置に合わせて、円形のTIMがきれいに塗布されている。

 Series Xのメイン基板はきれいな長方形をしており、メインプロセッサーの周りには、取り囲むようにSDRAMが配置されている(図9)。基板のシールド脇には小さな電源IC群が並んでおり、サブフレームと接する面のサブフレーム側にTIMが塗られていた。メイン基板の裏面には、「M.2」仕様に対応したSSDが取り付けられていた内蔵SSD用コネクターや、ユーザーが自由に抜き差しできるカード型拡張SSD用スロットなどが実装されている。

図9 サブフレームからメイン基板を取り外す
図9 サブフレームからメイン基板を取り外す
メイン基板の下からは、等間隔にTIMが塗布されたヒートシンクの銅板が姿を見せた。サブフレーム上のTIMの一部には、製造上のミスと思われる塗り漏れが発生していた。(写真:加藤康)
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 「電源ICの放熱は最も苦労する部分だとみられる」(同席した技術者)。PS5と同様に、電源IC群にはチップの姿が見えないほどの分厚さでTIMが塗布されており、放熱対策が重要なことが分かる。

高価なベーパーチャンバーを採用

 Series Xのメインプロセッサーを冷却するヒートシンクには、高価なベーパーチャンバーを用いていた(図10)。ベーパーチャンバーとは、熱拡散機構を備えた平板型のヒートパイプである。内部の作動液の蒸発や凝縮潜熱を利用し、効率的に熱を拡散させるため、ヒートパイプよりも冷却性能が高いとされる。

図10 ベーパーチャンバーを用いた高価なヒートシンク
図10 ベーパーチャンバーを用いた高価なヒートシンク
Xbox Series Xのヒートシンクの外観。採用したベーパーチャンバーは熱拡散性に優れるものの、PS5などで用いられているヒートパイプと比べて非常に高価である。原価は25米ドル程度と推定される。(写真:スタジオキャスパー)
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 ヒートパイプは、それ単体を曲げ加工などして複数利用するため、大量生産可能でコストが低い。一方のベーパーチャンバーは、製品ごとに形状を変えなければならず、コストを下げにくいので高価になる。

 ベーパーチャンバーを用いた冷却では、熱源に作動液を触れさせて蒸発させる必要がある。作動液が熱源の反対側に溜まり、正常に冷却性能を発揮できない「トップヒートモード」状態になると、せっかくの冷却性能を発揮できない。例えば、熱源がベーパーチャンバーの天面側にあるような場合がトップヒートモードに当たる。