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焼結金属で冷却不良を回避

 ところが今回の分解で、Series Xでは横置き時にトップヒートモードの姿勢になると分かった。横置きした際には電源ユニット側の面が天面となるので、熱源が接するベーパーチャンバーの銅板が天面側になる。

 ところが温度センサーで温度変化を測定したところ、縦置きと横置きの差は2~3℃と、わずかに横置きのほうが悪化している程度だった。「横置き配置でも、システムとしての放熱性能は十分に発揮できていることになる」(熱設計に詳しい技術者)。

 トップヒートモードでも冷却性能を維持できている理由の1つは、ベーパーチャンバー自体を分解して判明した(図11)。形状を支える銅製の支柱のいくつかに焼結金属を使っていた。特に高い熱が発生するプロセッサーやメモリー付近には焼結金属柱を集中的に配置していた(図12)。焼結金属は金属粉末を融点より低い温度まで加熱して焼き固めたもの。多孔質の性質を持つため毛細管現象によって作動液を吸い上げて熱源付近に供給でき、トップヒートモードでも冷却性能を維持できる。

図11 焼結金属でトップヒートを回避
図11 焼結金属でトップヒートを回避
ベーパーチャンバーの中央部分を切断して内部を観察した。熱源のメインプロセッサーにあたる部分には焼結金属の柱があり、内部の冷却液が毛細管現象で焼結金属柱を伝って熱源に接することで、熱源が天面側になる向きで置かれても、冷却効果を発揮するとみられる。(写真:日経クロステック)
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図12 ベーパーチャンバーの片側半分を水平方向にスライスして観察した内部
図12 ベーパーチャンバーの片側半分を水平方向にスライスして観察した内部
メインプロセッサーやメモリーの位置には焼結金属柱(青枠で囲った部分)が配置されていた。(写真:日経クロステック)
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 このタイプのベーパーチャンバーは、5年程前から市場に出回り始めたという。米国の高性能サーバー用途で高発熱密度対応型ベーパーチャンバーのニーズが高まったことなどが背景にある。