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 河野太郎規制改革相が率いる「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」が「電力価格高騰問題に対する緊急提言」を発表。「高騰期間の約定価格の遡及的な見直し」などの踏み込んだ要請は、電力市場や電気事業にどんなインパクトをもたらすのか。

 河野太郎規制改革相のチームが電力市場に改革を促す姿勢を強めている。

 2月3日に開いた4回目の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」は卸電力市場の高騰問題を取り上げた。

 河野規制改革相は高騰の背景として「市場に不備があったと言わざるを得ない」との認識を示した。

 そのうえで「制度の不備で新規参入者の撤退が続けば電力自由化は後退しかねない。対応を考えていく必要がある」と述べ、経営的なダメージを被った新電力に対する支援を経済産業省に求めた。

 タスクフォースは資源エネルギー庁と電力・ガス取引監視等委員会に対して「新電力などへの緊急支援」「市場制度の再設計」、そして「(市場の)構造的問題への対処」などからなる緊急提言を行った。

 新電力への緊急支援では、高騰期間の約定価格やインバランス精算の在り方、FIT特定卸供給における調達価格の見直し検討まで要請している。

 いずれも、エネ庁や監視委員会からは出てきにくい発想だ。

 タスクフォースメンバーの原英史・政策工房社長は「市場設計に欠陥があったから世界に例を見ない事態が起きた。緊急支援を求めるのは、小売事業者が壊れた市場の犠牲になった一方で、一般送配電事業者と発電事業者が過剰な利得を得るといった競争上の不公正が起きたため」と説明する。つまり、単純な新電力の救済が目的ではなく、市場の不備を放置してきた当局の責任を問うというスタンスだ。

 市場制度の再設計や市場の構造的問題への対処を求めているのは、そうしたスタンスのストレートな現れと言っていいだろう。

 「(今回の高騰のような)異常事態が発生しないよう、市場制度を抜本的に再設計する必要がある」「大手電力会社が寡占していること、発販一体の場合が多いことなど、電気事業を巡る構造的問題がある」といった具合だ。

 そして、「これらは先延ばしされてきた措置であり、(再エネの主力化など)エネルギー転換の実現のため、経済産業省が責任を持って取り組むことを要請する」と緊急提言は締めくくっている。

「原因の説明が間違っている」

 議論の過程では、高騰の原因についてこれまで経産省などが「厳寒による電力需要の急増」や「悪天候による太陽光の出力低下」などを挙げていたのに対して、タスクフォースは独自のデータを示してこれに反論した。

 寒さについては過去の気温データから「数年に1度程度のレベル」で、1月の最大電力(kW)と電力需要(kWh)は暖冬だった2019年度と比べれば多かったものの、2017年度と大きく変わらない水準と見なせるとし、いずれも「想定可能な範囲」だったと結論づけた。

 太陽光についても2021年1月上旬の発電量(kWh)は、2020年の同期間と比較して全国規模では12.7%増えている。「地域や時間帯で状況は異なるとしても、今回不足が問題となったkWhについてはむしろ上乗せに貢献した」と主張した。

 こうした議論を受ける形で、河野規制改革相は「(経産省の)当初の説明が間違っていたようだ。いったい何が原因なのか、徹底的に調査すべき」と指示を出した。