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読み取った結果の確認やRPAでのデータ入力も支援対象に

 AI insideの新サービス「ワクチン接種管理業務ソリューション」の特徴は、AI OCRに加えて、AI OCRで読み取り後の処理もサービスの対象範囲にしている点だ。AI OCRはDX SuiteのAIモデルを搭載し、自治体内に設置して利用できるエッジコンピューター「AI inside Cube」を通して提供する。

 加えて、読み取ったデータを確認したり修正したりする要員や、管理システムに読み取り結果を自動入力するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)も提供する。RPAの開発サービスなどを手掛けるパートナー企業と連携して、自治体や、自治体から委託を受けたBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業者を支援する。

「ワクチン接種管理業務ソリューション」の中で提供するエッジコンピューター「AI inside Cube」
「ワクチン接種管理業務ソリューション」の中で提供するエッジコンピューター「AI inside Cube」
(出所:AI inside)
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 AI insideの新サービスは、2020年5月以降、自治体向けに特別定額給付金の申請受付業務の効率化支援で得た経験が基になっている。膨大な量の紙文書を扱う処理を迅速に進めていくためには、DX Suiteで紙の書類を自動で読み取れるようにするだけではなく、システムへのデータ入力といった後続作業も自動化するなど「一気通貫で支援する必要性を実感した」(AI inside広報)という。

 「特別定額給付金の事務作業と同じように、ワクチン接種管理業務でも膨大な紙文書の迅速な処理が求められると想定できたので、RPAなどを扱っているパートナー企業の協力を得て今回のサービスを開発した」とAI inside広報は説明する。要員の作業やRPAで自動化する処理の内容は自治体などへのヒアリングを踏まえて固めていくという。

 予診票や接種券のフォーマットなど、管理業務の詳細が決まっていないときからサービス開発を進めてきた。他の予防接種で利用している予診票などを参考にして、様々な読み取りパターンを想定したり、政府が公表した接種管理の業務フローなどの情報も順次取り込んだりしていきながら、サービスを作り上げているという。

 AI insideによると自治体やBPO事業者から多くの問い合わせが寄せられているという。「2021年4月には接種が本格化する。それまでにAI OCRを実際に活用してもらえるように支援する」(AI inside広報)。

NTTデータは共同利用型サービスを通して支援

 このほかNTTデータは2021年2月4日、RPAやAI OCRの自治体向け共同利用型サービス「スマート自治体プラットフォーム NaNaTsu」で、予診票をAI OCRで読み取れるようにするための帳票定義ファイルの提供を始めた。

NTTデータが「スマート自治体プラットフォーム NaNaTsu」で提供するAI OCRの画面イメージ
NTTデータが「スマート自治体プラットフォーム NaNaTsu」で提供するAI OCRの画面イメージ
(出所:NTTデータ)
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 NTTデータも2020年5月、特別定額給付金の業務効率化を目的に、200以上の自治体にRPAやAI OCRを提供した実績を持つ。ある自治体ではRPAやAI OCRを利用することで、1件当たり5分かかっていた処理を30秒に、支給までの期間を2週間から4日に短縮させたケースもあったという。

 こうした実績をワクチン接種管理業務の支援にもつなげる。「スマート自治体プラットフォーム NaNaTsuはスモールスタートしやすい料金プランなどを用意しているので、今回のワクチン接種管理業務でも自治体はより効果を上げやすくなる」とNTTデータ社会基盤ソリューション事業本部ソーシャルイノベーション事業部の橘俊也課長代理は説明する。「特別定額給付金の業務の時と同様に、登録時間を90%程度削減できると見込んでいる。ワクチンの接種管理業務の効率化では400以上の自治体へのサービス提供を想定している」という。

 今後は自治体における接種管理業務に関するニーズや、予診票などのフォーマットの確認などを進めてサービスの質を高めていく。予防接種システムを扱うベンダーやBPO事業者とも連携を図る。予防接種システムを扱うベンダーとの連携の中では、パソコン作業を自動化する手順をまとめたRPAのシナリオを作成して、2021年2月後半から同年3月前半にかけて提供するという。コロナワクチン接種を事務面で支援するITベンダーの動きが今後活発になりそうだ。