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 「管理を強化するだけで問題の再発を防げると考えているとしたら間違いだ」――。車載オーディオ機器用ラジオ受信機(以下、車載ラジオ)の不適合品*1を出荷し続けていた三菱電機が発表した再発防止策について、トヨタ自動車グループ出身の開発設計の専門家(以下、開発設計の専門家)は厳しい評価を下す。元トヨタ自動車の設計者はこう指摘する。「再発防止策とはチェック項目を増やすことではない。それでは暫定対策と見なされ、トヨタ自動車だったら許可が下りないだろう」と。

三菱電機の再発防止策の考え
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三菱電機の再発防止策の考え
三菱電機の再発防止策に対するイメージ。品質保証部門と技術管理部門が設計部門を徹底的に管理することで、設計不正の再発を防ぐ考え。(イラスト:穐山 里実)

*1 不適合の内容は、欧州委員会が定めた、欧州域内のラジオなどの電波受信器に対する指令である「欧州無線機器指令(Radio Equipment Directive、以下、欧州RE指令)」に適合しなかったこと。伝導雑音性能が0.6dB超過し、長波/中波のSN比性能で最大5dBの未達があった。

 三菱電機の再発防止策のポイントは「管理強化」だ。具体的には5つの再発防止策を打ち出した。[1]適合宣言書の管理、[2]適合性評価試験の管理、[3]製品の出荷可否判断、[4]法規の制定・改正時の複数部門(技術管理部門と設計部門、品質保証部門)による合同レビュー、[5]技術関連法規に関する教育の強化、である。このうち[1]~[3]を品質保証部門が、残りの2つを技術管理部門が担当する。不正に手を染めた設計部門に対し、品質保証部門と技術管理部門がチェックの目を光らせる。

三菱電機が発表した再発防止策
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三菱電機が発表した再発防止策
5つの対策から成る。ポイントは管理を強化することにある。(出所:三菱電機の発表資料を基に日経クロステックが作成)

 この再発防止策を開発設計の専門家は「対策自体はいずれも妥当で、後は現場でしっかりと実践できるかどうかだろう。だが、気になる点がある。三菱電機が今回の問題の『真因(問題を引き起こす本当の原因)』を突き止めた上で導き出した再発防止策のようには思えないことだ」とみる。