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 デジタルガレージ、NEC、レピダム(東京・渋谷)の3社が「秘密計算」の研究会を立ち上げた。秘密計算は暗号化されたデータを復号化することなく、そのままの状態で相関関係などの分析ができる技術だ。企業が機密性の高いデータを、安全な状態で活用しやすくなる。研究会は個人情報や企業機密を保護するための安全性の基準を策定して技術の普及を促す。

 新たに活動を始めるのは「秘密計算研究会」。秘密計算の技術や事業の開発を進めている3社は2020年12月から3回にわたってオンラインで議論を重ね、NTTもゲストとして加わり実用的な秘密計算の安全性基準の策定に向けて合意した。

 秘密計算の領域では、日本の研究者や技術者が世界でも有数の技術や知見を持つとされる。研究会はそうした人たちが所属企業の枠を超えて連携できる場にする。2021年4月ごろまでに安全性基準の初版を作成する方針だ。企業などが秘密計算の技術を活用する際の指針も作る。秘密計算を社会で幅広く活用できる環境を整備するのが狙いで、2021年2月18日にWebサイト(https://secure-computation.jp/)を公開した。

 秘密計算を巡っては、千葉大学医学部付属病院とNTTコミュニケーションズが2021年2月1日に共同研究の協定を締結したと発表している。機密性が高い臨床研究データを暗号化したまま深層学習(ディープラーニング)のAI(人工知能)モデルを作成し、診断時間の短縮や最適な薬剤を処方する研究につなげるという。

 秘密計算の用途は大きく分けて2つある。1つは複数の企業などの組織が個人データや機密データを暗号化しながら結合して相関関係といったデータの分析ができる。

 例えば2つの企業のどちらが従業員の年齢と年収の相関関係が強いかを調べるには、それぞれの企業に在籍する従業員1人ひとりの年齢や年収データが必要だ。しかし年収データを外部に提供するのは個人のプライバシーに関わる。秘密計算の技術を使えば、暗号化したまま個人のプライバシーを保護しつつデータを他社と共有して分析できる。

 一人ひとりのゲノムと病気のかかりやすさの相関関係を調べるにも秘密計算の技術が役立つ。医療機関が管理しているカルテのデータと、ゲノムバンクが保有するゲノム情報を1対1で突合して分析する際に秘密計算の技術を使えば、カルテやゲノムのデータを暗号化したまま分析して、結果を医学研究や新薬開発に役立てられる。

秘密計算の利用例(複数組織が持つデータの安全な統合・利活用)
秘密計算の利用例(複数組織が持つデータの安全な統合・利活用)
(出所:秘密計算研究会)
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