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 新型コロナ禍のさなか、政府や地方自治体で米Microsoft(マイクロソフト)のクラウドサービス「Azure」やコミュニケーションツール「Teams」などの導入が急拡大している。例えば厚生労働省はAzureを「新型コロナウイルス感染者等情報把握・管理支援システム(HER-SYS)」や接触確認アプリ「COCOA」の開発・運用に採用している。

 さらにHER-SYSの運用においては、厚労省と全国の自治体職員らはTeamsでコミュニケーションをとっている。コロナ禍の行政機関でマイクロソフト製品の導入が広がったのはなぜなのか。

HER-SYS開発にマイクロソフトのクラウドフル活用

 拡大の理由は行政機関でアジャイル開発のニーズが高まっていることにありそうだ。

 「行政機関はコロナ対策関連システムを迅速に立ち上げる必要があった。従来のウオーターフォール型に代わって注目されたのがアジャイル開発だった」。日本マイクロソフト(日本MS)の木村靖業務執行役員デジタル・ガバメント統括本部長はこう話す。

日本マイクロソフトの木村靖業務執行役員デジタル・ガバメント統括本部長
日本マイクロソフトの木村靖業務執行役員デジタル・ガバメント統括本部長
(出所:日本マイクロソフト)
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 アジャイル開発では仕様変更を柔軟に取り入れながら2週間程度で「動く」システムやサービスをリリースし、この繰り返しでシステムを完成させていく。インフラにも柔軟さが求められるため、オンプレミスよりもクラウドサービスの導入が適している。

 そのうえで、日本MSのクラウドサービスのラインアップの豊富さが評価されたようだ。「IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)からPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)、SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)まで取りそろえた、当社のクラウド基盤やサービスが評価されたとみている」(木村執行役員)。

 実際、厚労省はHER-SYSの開発で、マイクロソフトのクラウドをフル活用している。データ管理基盤にAzureを、ユーザーである自治体や保健所との連携における認証基盤には「Azure AD」を、厚労省や自治体、保健所などの間のコミュニケーションはTeamsをそれぞれ使っている。データを可視化するためのBI(ビジネスインテリジェンス)ツールに「Power BI」も使用した。

 Teamsを巡っては、リモートワークの緊急導入や出張禁止といった働き方の変化に対応して、各行政機関がコミュニケーションツールの導入を急いだことにうまくはまったとも言える。前述のHER-SYSの運用でTeamsを使うユーザーは当初の5000人弱から、今は1万人以上に拡大した。ある中央省庁では、2020年春の緊急事態宣言下で、全国の支所との出張を伴う対面会議を抑制するためにTeamsを導入し、約4万人が使っているという。