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 2021年4月以降に各自治体で始まる高齢者への新型コロナウイルスワクチン接種に向けて、ベンダー各社によるワクチン接種予約・管理システムの提供が相次いでいる。だが、接種管理に関わるデータ規格化や標準化がないまま走り出したことで、今後新たな「2000個問題」を生み出しかねないと懸念する声が出ている。

予約から接種後の健康状態まで一気通貫で管理

 SAPジャパンは自治体向けに新型コロナワクチンの接種予約や接種記録管理のほか、接種状況のリアルタイム可視化、副反応疑い報告をはじめとした接種後の健康管理、接種証明書発行を一気通貫で担う接種管理システムの提供を始めた。2020年11月から海外で新型コロナワクチン接種向けに提供しているシステムを基に、国内の各自治体に合わせてパッケージとして提供する。

SAPジャパンが自治体向けに提供するワクチン接種管理システムは、予約から接種時の管理、接種後のフォローまで一気通貫でカバーする
SAPジャパンが自治体向けに提供するワクチン接種管理システムは、予約から接種時の管理、接種後のフォローまで一気通貫でカバーする
出所:SAPジャパン
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 今回初めて使うワクチンを全国民が接種するというこれまでにない状況下で、「正しい情報共有を通じて住民との信頼をつくる必要がある」(SAPジャパン担当者)。同社はこの考えに基づいて接種予約や接種記録管理だけでなく、リアルタイムの接種状況の可視化や接種後のフォローアップも一貫して担えるシステムとしたという。自治体ごとに同一システムで一貫したデータベースを構築できる利点もある。

 ただし、自治体ごとに状況やニーズは異なる。これを踏まえてベンダー各社はワクチン接種予約・管理に関する様々なサービスを提供し始めた。

 例えばNTTデータ関西は、人口5万人以下の自治体向けに新型コロナワクチンの集団接種用のオンライン予約システムを無償提供する。既存の自治体向け予約システムを基に開発した、あくまで予約管理に特化したシステムだ。

 日本マイクロソフトが提供するワクチン管理システム「Vaccination Registration and Administration Solution(VRAS)」はSAPジャパンのシステムと同様、海外ですでに実績のある新型コロナワクチン接種向けの管理システムだ。接種予約から通知、ワクチンの在庫管理や副反応があった場合のトレース機能まで一連の流れを管理できる。

 日本マイクロソフトのシステムでは接種予約や通知などにおいて、対話アプリ「LINE」で接種対象者とも連絡できる。

 LINEを活用するワクチン接種予約・管理システムは他ベンダーも手掛ける。ある自治体では、LINEを活用した自治体向けシステム開発に強みを持つBot Express(東京・港)が「Salesforce」のプラットフォームを活用し、LINEによる接種予約システムを構築する。