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 「ゲノム解析のデータ処理時間を10分の1に短縮できる」(Mitate Zepto Technica CEOの原島圭介氏)――。

 Mitate Zepto Technica(MZT、東京・渋谷)はゲノム解析向け演算ボードの開発を手掛けるスタートアップ企業だ。2020年7月に設立した。このボードに搭載する特定用途向けIC(ASIC)の開発を通じて、ゲノム解析におけるデータ処理時間の短縮や、コストの低減などを狙っている。演算ボードの利用によってゲノム解析のハードルを下げるとともに、医療や農業などの分野での利用拡大を見込む。同社はASICの基本設計を完了しており、開発は順調に進んでいるという。

 原島氏によれば、ゲノム解析は「DNAの読み取り」「読み取りデータの処理」「処理データを利用した診断」という3つの工程から成る。最初の「DNAの読み取り」ではDNAを細かく切って情報を読み取る手法(ショートリード)が採られており、続く「読み取りデータの処理」ではその細かく切られた情報をパズルのように組み合わせる作業(マッチングアライメント)を行う。最後に、様々な企業が処理データを利用して診断などを実施する。

 最近、DNAの読み取り時間が短くなってきたものの、その次の工程であるデータ処理にまだ時間がかかっている(図1)。MZTはデータ処理向けASICを開発し、その処理時間を短縮しようと狙う。「1人のヒトゲノムをデータ処理するのに約50分を要し、1日当たりにゲノム解析できる人数が限られている。そこで我々はヒトゲノムを5分で処理できるASICの開発を目指している」(同氏)。処理時間の短縮が可能になれば、データ処理までを1日に100人弱分こなせるようになる。

図1 ゲノム解析の処理時間短縮において、データ処理がボトルネックに
図1 ゲノム解析の処理時間短縮において、データ処理がボトルネックに
「DNAの読み取り」「読み取りデータの処理」「処理データを利用した診断」の3つの工程の中で、ヒトゲノムのデータ処理が約50分と長いという。MZTはASICを開発して、データ処理時間を10分の1に短縮することを目指す。(出所:MZT)
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