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 NTTデータの地方銀行向けビジネスが岐路に立っている。同社は地銀勘定系システムの構築ベンダーとしてシェアトップだが、地銀の再編・統合が加速するなか、現在の地位を維持できるのか不透明さも漂う。

 こうしたなか、2020年10月には金融ビジネスの新戦略を打ち出し、新たな一手を打った。地銀の勘定系システムを巡っては新たなライバルも登場している。争奪戦は新局面に入った。

転換点は金融庁リポート

 「地銀に対して、基幹系システムを安全に安く、効率的に提供するだけでは(ビジネスが)立ちゆかなくなるだろう」。NTTデータで地銀向けビジネスを統括する稲村佳津子執行役員は現状認識をこう示す。

NTTデータの稲村佳津子執行役員
NTTデータの稲村佳津子執行役員
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 これまで同社は地銀向けビジネスで独自の地位を築いてきた。複数行で勘定系システムを共同利用する「地銀共同センター」を軸に、本丸の勘定系を押さえながら、周辺領域に事業を拡大。地銀の勘定系システムのシェアは銀行数でみると約4割に達し、日本IBMや日立製作所、日本ユニシスなどのライバルをしのいでトップの座にある。

 盤石に見える地銀向けビジネスの転換点になったのが2020年6月末だ。金融庁が「金融機関のITガバナンス等に関する調査結果レポート」を公表した。同リポートで金融庁が論点の1つに挙げたのが「地域銀行の共同センターとIT戦略・ITガバナンスのあり方」についてだった。

 関係者の関心を特に引いたのが、システム共同化の最大の利点ともいえるITコストの課題にまで踏み込んだ点。地銀と信用金庫、信用組合のITコストを「システム関連経費/預金量」という指標で比較したところ、地銀のほうが相対的に高コストであるという結果が出たのだ。

金融庁は地銀と信金などでITコストの効率性を比較
金融庁は地銀と信金などでITコストの効率性を比較
(出所:金融庁)
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 「ITコストの相応を占める共同センターの分担金なども含めて、規模・特性に応じた価格およびサービスの合理性を検証し、その結果を踏まえつつ、継続的に投資効果の評価を行い、不採算を見直すなど、PDCA(計画・実行・評価・改善)を行う態勢を確立することが重要である」――。金融庁は同リポートでこう指摘した。

 金融庁リポートから2カ月余り、2020年9月の自民党総裁選における菅義偉官房長官(当時、現首相)の発言が地銀ビジネスにさらに揺さぶりをかけた。地銀について「将来的には数が多すぎるのではないか」と言及したのだ。地銀の再編・統合論議に拍車がかかり、その障壁になり得る勘定系システムの問題にもスポットライトが当たった。