全2635文字
PR

 高速道路において、渋滞時に、カーナビゲーションシステム(ナビ)の画面でテレビ番組や動画コンテンツを視聴したり、ナビを操作したりできる――。そんなレベル3(アイズオフ)の自動運転機能を世界で初めて市販車に搭載したのが、ホンダの新型セダン「LEGEND Hybrid EX・Honda SENSING Elite」である(図1)。発売は2021年3月5日。100台の限定生産としており、価格は1100万円(税込み)、販売形態はリースとなるという。

図1 市販車初のレベル3の自動運転機能を搭載したホンダの新型セダン「LEGEND Hybrid EX・Honda SENSING Elite」
図1 市販車初のレベル3の自動運転機能を搭載したホンダの新型セダン「LEGEND Hybrid EX・Honda SENSING Elite」
100台の限定生産。価格は1100万円(税込み)。(出所:ホンダ)
[画像のクリックで拡大表示]

 レベル3の自動運転では、スマートフォンで動画を見ることも法的には禁止されていない。だが、動画を見る場合は、ナビ画面で見ることを同社は推奨する(図2)。動画に夢中になると、車両側からの運転交代要請に気づかない恐れがあるためだ。ナビ画面であれば、車両側で動画を中断させ、運転交代のメッセージを表示できる(図3)。

図2 レベル3の自動運転機能が作動しているときのインストルメントパネル
図2 レベル3の自動運転機能が作動しているときのインストルメントパネル
ステアリングホイール、ナビ画面上部、グローブボックスのそれぞれに設けた表示灯が青色に点灯し、ナビ画面にはテレビ番組や動画も映せるようになる。(出所:ホンダ)
[画像のクリックで拡大表示]
図3 ナビ画面とメーターパネルに表示される運転交代のメッセージ
図3 ナビ画面とメーターパネルに表示される運転交代のメッセージ
レベル3の自動運転機能が終了し運転交代が必要になると、ナビ画面の動画は自動的に中断され運転交代のメッセージが表示される。ホンダの動画の一部をキャプチャーした。
[画像のクリックで拡大表示]

 同社では、このレベル3の自動運転機能を「トラフィックジャムパイロット(渋滞運転機能)」と呼ぶ。同機能を作動させるためには、高速道路での渋滞時ということ以外にも、様々な条件を満たしていることが求められる。例えば、車両が周辺の車両や走路を認識できること、自車位置を特定できること、自車の速度が決められた範囲にあること、前後に車両が存在すること、運転者が正しい姿勢でシートベルトを装着していることなどだ。自車の速度は、30km/h以下が作動の条件。50km/h以上になると同機能は終了する。

 渋滞時に限定した機能からレベル3を実現したのは、「高速道路では低速での事故が意外に多い」(同社)ためだ。また、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」に付与される別添技術基準において、レベル3の自動運転に関するより詳細な要件が現時点で明確にされているのは、高速道路の同一車線内で60km/h以下と低速で走行する場合に限られていることも関連しているとみられる。

 同車では、こうしたレベル3の自動運転機能に加えて、高速道路におけるハンズオフ(手放し)での車線維持・変更機能などレベル2プラスの先進運転支援システム(ADAS)も搭載する。「Honda SENSING Elite」は、それら自動運転とADASの総称である。

 ちなみに、ハンズオフでの車線変更機能とは、先行車追従(ACC)と車線維持支援(LKA)の機能を使って高速道路をハンズオフで走行中に「ハンズオフ機能付高度車線変更支援機能」のボタンを押した場合に使えるものである。車両は、前方に遅い先行車を検知すると、運転者に告知した上で自動で車線変更して追い越し自動で元の車線に復帰する。この間、運転者は周囲を確認するだけ。安全が確認できれば、ステアリングホイールを握る必要はない。