みずほ銀行は2021年2月28日、大規模なシステム障害を起こした。ATMやインターネットバンキングで一部取引が不能になり、キャッシュカードや通帳などがATMに取り込まれたまま戻ってこない不具合も多発した。みずほ銀行は2002年と2011年にも大規模なシステム障害を起こしている。信頼回復を期し4000億円以上を投じて勘定系システムを全面刷新したが、「3度目」を防げなかった。
「ATMに通帳が取り込まれたまま出てこない。自宅にも帰れず、どうしたらいいのか」。2月28日午後1時ごろ、東京・品川のみずほ銀行の出張所で、50代の男性会社員は途方に暮れた。
システム障害が発生したのは2月28日午前。店舗内外の自行ATMやインターネットバンキングの「みずほダイレクト」において、一部の取引ができなくなった。キャッシュカードや通帳がATMに取り込まれたまま戻ってこない不具合も各地で発生し、顧客が店舗などに足止めされた。
みずほ銀行によると、2月28日午後7時40分時点で、全5395台ある店舗内外の自行ATMのうち2956台が停止していた。すでに店舗内ATMやネットバンキングは復旧したが、店舗外ATMの一部はまだ稼働していない。
原因は定期預金に絡むデータ更新作業に伴って発生した不具合にある。この不具合が自行ATMやネットバンキングに波及し、一部の取引ができなくなった。今のところ、システム障害の引き金を引いたデータ更新作業が自行ATMやネットバンキングにどのように影響したのかなど詳細は明らかになっていない。
2月28日午後10時、持ち株会社のみずほフィナンシャルグループは役員会を緊急開催し、今後の対応などを協議した。みずほ銀行は過去に大規模なシステム障害を2度引き起こしており、今回が3度目。キャッシュカードや通帳などがATMに取り込まれたまま戻ってこないなど顧客への影響も甚大で、対応に一刻の猶予もなかった。