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 日本精工(NSK)は2021年3月1日、ドイツVolkswagen(フォルクスワーゲン、VW)から電気自動車(EV)向け電動パワーステアリング(EPS)の受注を獲得したと発表した。23年にNSKの中国工場で量産を開始し、VWの世界拠点に供給していく。

 VWは電動車用の部品開発や内製化を強化する目的で、Volkswagen Group Components(フォルクスワーゲン・グループ・コンポーネンツ)という組織を19年1月に設立。その一環で19年5月にNSKとステアリング開発で協業する契約を締結していた。

 協業の第1弾としてVWグループとNSKは、VWのEV専用プラットフォーム「MEB(Modular Electric Drive Toolkit)」向けに「ピニオン式」のEPSを共同開発した(図1)。現在VWが量産中のMEBの車両に搭載されているEPSもピニオン式で、今回の部品は第2世代品となる。MEB向けEPSの第1世代品は他社が部品を供給していた。

図1 VWのEV専用プラットフォーム「MEB」
図1 VWのEV専用プラットフォーム「MEB」
VWはMEBを適用した最初の車両「ID.3」の量産を20年に開始した。(出所:VW)
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 EPSは、モーターやモーターのトルクを増幅する減速機、操舵力を検知するトルクセンサー、舵角を検知する舵角センサー、ECU(電子制御ユニット)で構成する。部品の配置や構成で大きく3種類、細かくは5種類に分かれる。コラム式、ピニオン式(デュアルピニオン式もある)、ラック式(ラック同軸タイプ、ラック軸平行タイプ)である()。

表 EPSの主な方式
表 EPSの主な方式
日経Automotiveが作成。
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 今回、VWグループとNSKが開発したピニオン式EPSは、ステアリングシャフト下部のピニオンギアに、モーターと減速機、トルクセンサーを組み付ける。部品点数が少なく低コスト化に向く一方で、大きな操舵力を必要とする大型車には不向きだった。操舵力に限界があるのは、運転者の操舵力とモーターの駆動力をピニオンギア一カ所から伝えることによるピニオンギアの強度面での問題と、ラックに対して不均等に力がかかるためである。

 ピニオン式の弱点を補う方式としてはデュアルピニオン式がある。これは、従来の操舵に用いているピニオンギアに加えて、操舵力支援専用のピニオンギアをラック上に追加し、こちらをモーターで支援するもの。