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 Zホールディングス(ZHD)とLINEは2021年3月1日に経営統合した。「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー」を標榜、5年で5000億円をAI人材確保などに投じる。国内ネット業界では最大手となったが、追いかける米IT大手4社の「GAFA」の背は2019年11月の統合発表時点からむしろ遠のいた。2023年度の売上収益を2兆円と、現状の2社合算から7000億円も上積みする遠大な目標を掲げるなど、自らに高いハードルを課して成長を目指す。

 「ITの力でこの国と社会をもっと豊かで便利にできると確信している。ユーザーから圧倒的な支持を得られる企業になりたい。経営統合の発表以来、この思いを強くしてきた」。共同最高経営責任者(CEO)を務めるZHDの川辺健太郎社長は、会見でこう意気込みを述べた。同じく共同CEOを務める出沢剛代表取締役は「LINE単独では実現できなかった新たな価値の創出にヤフーと取り組む。ユーザーにとって意味ある経営統合にできるかが全てであり、我々の思いだ」と経営統合の意義を強調した。

共同CEOを務める川辺健太郎氏(左)と出沢剛氏。ヤフーとLINEのコーポレートカラーをあしらったそろいのネクタイで登壇した
共同CEOを務める川辺健太郎氏(左)と出沢剛氏。ヤフーとLINEのコーポレートカラーをあしらったそろいのネクタイで登壇した
(撮影:日経クロステック)
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 新生ZHDは4種の注力事業領域を定めた。EC(電子商取引)をはじめとする「コマース」領域ではメッセージングアプリのLINEを活用し、友人同士のつながりを生かしたソーシャルコマースに注力する。友だちの誕生日の通知をきっかけにプレゼントを贈れる「LINEギフト」を「Yahoo!ショッピング」などと連携し、より多くの商品から贈り物ができるようにする。ヤフーなどに出店するオンライン店舗と実店舗の商品データを連携させ、需要に応じて価格が変わるダイナミックプライシングサービスを実店舗でも提供する構想を描く。

 旅行や飲食の予約、広告などの「ローカル・バーティカル」領域については、両社が手掛ける予約サービスからの送客支援や利用者とのマッチング精度向上に取り組む。LINE傘下の食事宅配サービス「出前館」の配送網を、食事以外の配送にも生かす。

 「FinTech」領域の中核をなすのがスマートフォン決済サービスの「PayPay」だ。2022年4月に「LINE Pay」の国内コード決済事業をPayPayに統合するため協議を始めた。統合が実現すれば利用者数は単純合算で7000数百万人と国内最大規模になる。まず2021年4月下旬以降、全国300万カ所のPayPay加盟店のうち、利用者がコードを読み取る方式を導入している店舗についてLINE Payで支払えるようにする。