全1661文字
PR

 イスラエルの新興企業Vayyar Imaging(バイアーイメージング)は、OTA(Over The Air)に対応した60GHz帯のミリ波レーダー技術を開発した。車内への幼児の置き去りを検知する「Child Presence Detection(CPD)」や、全席でのシートベルト装着をうながす「Seat Belt Reminder(SBR)」などに使える。

 60GHz帯のミリ波レーダーは車室内の監視用センサーとして期待されている。車外向けは24GHz帯と77GHz帯のミリ波レーダーが主流だが、車内向けでは60GHz帯が本命視されている。

 バイアーイメージングは、ミリ波レーダーの送受信回路と信号処理プロセッサーを1チップ化した「RoC(Radar-on-Chip)」と呼ぶ半導体を手掛ける。物体の3次元座標と速度を同時に把握できることから「4Dイメージングレーダー」とも呼んでいる。1次部品メーカー(ティア1)に売り込んでおり、例えばフランスValeo(ヴァレオ)とは提携関係にあるという。

Head of AutomotiveのIan Podkamien氏
Head of AutomotiveのIan Podkamien氏
(出所:バイアーイメージング)
[画像のクリックで拡大表示]

 「我々の技術は、1チップで48個の送受信アンテナを駆動でき、検出できる物体の空間分解能が約5cmと高解像度だ」と同社Head of AutomotiveのIan Podkamien(イアン・ポカミエン)氏は説明する。「競合他社の技術は、1チップで7個ほどのアンテナしか駆動できず、空間分解能は約50cmと低い」(同氏)注)

注)「多数のアンテナによって角度分解能を高めて実現した」(同氏)という。角度分解能は競合他社が15~20度であるのに対し、同社は5度以下を実現しているという。なお、距離の分解能は周波数で決まるため、他社との差はなく、数cmだという。

 また、1チップ化により、「価格は競合他社のチップと同等に抑えられる」(同氏)と主張する。競合としては、オランダNXP Semiconductors(NXPセミコンダクターズ)やドイツInfineon Technologies(インフィニオンテクノロジーズ)、米Texas Instruments(テキサス・インスツルメンツ)などを挙げた。

ボードの中央にあるのが、ミリ波レーダーの送受信回路と信号処理プロセッサーを1チップ化したRoC。アンテナはボード上に配線パターンとして形成されている
ボードの中央にあるのが、ミリ波レーダーの送受信回路と信号処理プロセッサーを1チップ化したRoC。アンテナはボード上に配線パターンとして形成されている
(出所:バイアーイメージング)
[画像のクリックで拡大表示]

 レーダーの信号をチップ内のプロセッサーでアルゴリズム処理し、物体の点群データに変換する。この点群データをAI(人工知能)などのソフトで処理すれば、車室内の乗員の数や位置、姿勢などを把握できるほか、「赤ちゃんなのか、子供なのかも区別できる」(同氏)という。カメラと違い、プライバシーに配慮しやすいのも特徴とする。幼児の置き去り検知やシートベルトのリマインダーなどに利用でき、「2023年以降のEuroNCAP向けソリューションとして売り込む」(同氏)。