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 日医工に対し、後発医薬品(ジェネリック医薬品)メーカーから成る日本ジェネリック製薬協会が処分を決定した。「正会員の資格停止」で、期間は5年間(2021年3月9日~26年3月8日)におよぶ。日医工は薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)に抵触し、富山県から業務停止命令を受けていた。

日医工の処分を発表した日本ジェネリック製薬協会
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日医工の処分を発表した日本ジェネリック製薬協会
(出所:日本ジェネリック製薬協会のWebサイト)

 処分の理由は2つ。[1]薬機法(医薬品や医療機器などの品質、有効性および安全性の確保などに関する法律)に対して重大な違反を犯したこと。[2]令和3年(2021年)3月3日に富山県が業務停止命令の行政処分を行ったこと──である。

 同協会は内容によって4段階の処分を設けている。最も厳しいものから(1)除名、(2)資格停止、(3)厳重注意、(4)注意、となる。「日医工に下された資格停止は2番目に重い処分だが、内規は『5年以内』となっているため、最大限の資格停止期間となる」(同協会)。

 この処分により、日医工は日本ジェネリック製薬協会の議決権を失い、理事会や委員会などに同社の意思や意見を反映できなくなる。加えて、理事資格を失い、一般会員に“降格”する。さらに、重要事項を決める各委員会への参加が認められなくなる。

 日医工に下した処分について日本ジェネリック製薬協会に話を聞いた。

「後発医薬品業界だけの問題ではない」

今回の日医工の事案を協会としてどう捉えていますか。

同協会:日医工の今回の処分は、先月(21年2月)除名処分となった小林化工(福井県あわら市)に続くものだ。小林化工の一件で後発医薬品に対する世間の信頼は失墜したと考えており、日医工の件でさらに信頼を損ねてしまった。両社ともGMP(Good Manufacturing Practice)省令違反(医薬品の製造管理と品質管理に関する基準に関する違反)を犯した。社会に与える負のインパクトはとても大きいと捉えている。

製薬会社にとってGMP省令の順守は必須だと医薬品医療機器総合機構(PMDA)に聞きました。にもかかわらず、この業界ではGMP省令違反は珍しくないのですか。

同協会:GMP省令は許可要件であり、これを順守できなければ事業はできない。2社以外にこうした違反はないとは言い切れないが、ないと信じている。品質に関して最後まで二重三重にチェック機構を設けるというのがGMP省令の大切な概念だ。仮にGMP省令の順守に対する意識が薄まっている企業があるのなら、もう一度ねじを締める必要がある。

日医工は後発医薬品の国内最大手です。後発医薬品の供給が不足して患者や医療機関が困ることはありませんか。

同協会:後発医薬品メーカーは日医工と小林化工の2社以外にもたくさんある。市場への供給が滞る心配はない。

後発医薬品は安価で利幅が薄いため、コスト削減などの負担が製薬企業の生産現場に重くのしかかってGMP省令違反の行為に走りやすい、といった現実はありませんか。

同協会:「後発医薬品は低価格だからGMP省令違反の傾向が高い」というのは“都市伝説”のようなもの。実際にはそんなことはない。小林化工と日医工が今回行ったことが、後発医薬品メーカーを代表しているわけでは決してないことは理解してほしい。実は、大手先発医薬品メーカーでもGMP省令違反で製品の自主回収に至っているケースはある。GMP省令違反は、後発医薬品業界だけの問題ではない。

世間の後発医薬品に対する信頼が揺らいでいます。

同協会:協会としては、処分によって小林化工と日医工の2社を切り捨てるのではなく、業界全体への問題提起と捉えて対応しなければならない。後発医薬品への信頼回復については、社会からの宿題を課せられたと捉えている。日医工の今回の件に関しては、外部の法律事務所が報告書を作製している。この中に記載されている是正措置や再発防止策を参考にしたい。

後発医薬品大手3社の平均年間給与
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後発医薬品大手3社の平均年間給与
平均年齢が若干異なるものの、日医工が頭1つ抜けている。各社の有価証券報告書を基に日経クロステックが作製。