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米Slalom Consultingが日本に本格進出する
米Slalom Consultingが日本に本格進出する
(撮影:シリコンバレー支局)
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 米シアトルに本社を構えるITコンサルティング大手のSlalom Consulting(スラロムコンサルティング、以下スラロム)が日本市場に本格参入する。企業が組織を変革したり人材を教育したりすることで、デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する。

 スラロムの顧客には米スターバックスや米シスコシステムズ、米コカ・コーラといったデジタルサービスを内製する企業が名を連ねる。また、顧客企業向けの製品やサービスの市場化を支援しているという面では、米アマゾン・ウェブ・サービス(Amazon Web Services、AWS)や米マイクロソフトも顧客だ。顧客企業の黒子としての立ち位置のため、スラロムの名はあまり知られていない。

 スラロムは日本に2020年5月から拠点を置いているが、DXへのニーズが高いとみて21年に事業を本格化させる。日本法人の東京オフィスを21年末までに現在の3倍以上の50人にまで拡大する。

 スラロム本社リージョナルゼネラルマネージャー、カイル・クルーズ氏は「日本市場には19年から時間をかけてデリバリーモデルなどを適応させてきた。20年はオーストラリア市場が躍進しており、同じタイムゾーンなので連携を深めていく」と話す。

DXの実行はあくまで顧客

顧客とスラロムの役割分担表。新サービスを開発するにあたり、顧客とスラロムで役割を分担し、最終的に必要なテクノロジーを移転していく
顧客とスラロムの役割分担表。新サービスを開発するにあたり、顧客とスラロムで役割を分担し、最終的に必要なテクノロジーを移転していく
(出所:Slalom)
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 スラロムの特徴は大きく3つある。1つ目は、顧客が新サービスを具体化するにあたり、顧客自身の組織にそれを開発したり、改善したりする能力を埋め込むことだ。

 日本市場への参入・拡大の責任者であるスラロムの保坂隆太氏は「アジャイル型での開発を可能にするため、顧客側にもAI(人工知能)やデータ分析、テクノロジーの選択や運用に責任を持つ担当者を置いてもらう。今までの例では、企業にはそうした人材はあまりいないので、我々と一緒に一から育成し、テクノロジーのスキルを移転していくことが多い」と説明する。小さなプロジェクトから始めて大型にしていき、経営陣も関与するように導く。

テクノロジーの本場に「逆オフショア」

 スラロムの本社がある米ワシントン州のシアトルエリアにはAWSやマイクロソフトも本社を構える。米グーグルを加えた「3大クラウド」のうち2社までが本社を置き、グーグルのクラウド部門も大きな開発部隊を同地に置く。実はスラロムのエンジニアはそうしたクラウド企業の顧客向け新サービスの市場化支援などで密接な関係を持っている。

スラロム本社のオフィス。スタートアップのような雰囲気で、他部署の社員との交流も盛んだ。そうした交流から顧客の課題解決に結びつくこともあるという。現在はコロナ禍のためテレワーク勤務に移行
スラロム本社のオフィス。スタートアップのような雰囲気で、他部署の社員との交流も盛んだ。そうした交流から顧客の課題解決に結びつくこともあるという。現在はコロナ禍のためテレワーク勤務に移行
(撮影:シリコンバレー支局)
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 顧客は、そうしたスラロムの本社のエンジニアやデータサイエンティストを利用できる。これが2つ目の特徴である。「いわば逆オフショア。コストの安い海外に委託するのとは逆の概念で、世界最先端のテクノロジーのノウハウを持つエンジニアを必要なときに必要なだけ活用できる。また、特定のベンダーのツールやテクノロジーに縛られず、最適なものをその場その場で選択して活用していく」(保坂氏)

 最終的には顧客側に一定のスキルやノウハウを持ってもらうのが基本だ。スラロムの中にはデータサイエンティスト、データエンジニア、ソフトウエアエンジニアなどロールごとに定義されたスキルマップがあり、そのマップで示されるスキルの水準を顧客にも適用する形になる。保坂氏は「開発したサービスを改善したり成長させたりするには、顧客側にコアとなるエンジニアが必須だ」と強調する。

スラロムが品質管理エンジニア向けに定めた習得スキルのロードマップ。上から順を踏んでいく。青色はツールやフレームワーク、緑色はテクノロジーの例などを示す。テクノロジーの動向にあわせて随時見直しているという
スラロムが品質管理エンジニア向けに定めた習得スキルのロードマップ。上から順を踏んでいく。青色はツールやフレームワーク、緑色はテクノロジーの例などを示す。テクノロジーの動向にあわせて随時見直しているという
(出所:Slalom)