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 米Wind River Systems(ウインド・リバー・システムズ)といえば、リアルタイムOS「VxWorks」や最長15年の長期サポートを提供する「Wind River Linux」など、組み込み機器向けのOSベンダーとして有名だ。創業40年を迎える同社は2021年、IT分野に本格参入する。

 先兵となるのが、2021年3月に国内で発表したクラウド環境に対応したITインフラ管理ツールの「Wind River Studio」だ。クラウドサービスとして提供し、利用料は公開していない。同社のポール・ミラーCTO(最高技術責任者)は「3~5年くらいで既存の組み込みOS向けビジネスと肩を並べるレベルにさせる」と話し、新たな事業の柱に育てたい考えだ。

米Wind River Systemsのポール・ミラーCTO(最高経営責任者)
米Wind River Systemsのポール・ミラーCTO(最高経営責任者)
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ベライゾンが全米で採用

 Wind River Studioは大きく2つのサブツール、「Operator Capabilities」と「Developer Capabilities」から成る。

 3月に発表したのは前者のOperator Capabilitiesで、国や地域をまたいだ場所にあるコンテナベースの仮想マシンを統合管理運用するツールだ。なかでも第5世代移動通信システム(5G)で注目されるマルチアクセス・エッジ・コンピューティング(MEC)で威力を発揮するという。

 MECとは、モバイル端末からクラウドサーバーにアクセスする通信遅延を解消する目的で、通信事業者の自社網内にサーバーなどを配置する取り組みである。実際に米Verizon(ベライゾン)が全米に構築した仮想化5G無線ネットワーク(vRAN)にOperator Capabilitiesを採用し、MECを統合管理しているという。

 Operator Capabilitiesは「Cloud Platform」と呼ぶ基盤に各種ソフトを組み合わせている。具体的には管理サービスの「Conductor」、監視サービスの「Analytics」、実行ソフトウエア群の「OpenStack」などだ。オープンソースでMECを実現するためのソフトウエアプロジェクトである「StarlingX」をCloud Platformでは採用している。

Wind River Studioの構成
Wind River Studioの構成
(出所:ウインドリバー)
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 ConductorはWind Riverが提供するクラウドサービスだけでなく、複数のパブリッククラウドを利用する「マルチクラウド」や、自社のデータセンターに置いたプライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせて利用する「ハイブリッドクラウド」にも対応する。離れた場所でサービスを立ち上げるといった管理作業を自動化するオーケストレーション機能を備えている。

 Analyticsはネットワークやクラウドサービスの運用状況など多様な情報を収集し、機械学習などを通じて状況を分析し、リポート作成や警告などの機能を備える。地理的に離散した各拠点における動作状況を一元的に把握できる。