みずほ銀行でシステム障害が相次いでいる。2週間で4回だ。過去に2度の大規模障害を引き起こし、それらを教訓に情報システムの全面再構築を断行。トラブルと決別したはずだった。にもかかわらずATM障害やハード障害などが連発している。
なぜ失敗が繰り返されるのか、それぞれの障害に関連性はあるのか、システムに根本的な欠陥があるのか――。検証すると7つの疑問が見えてきた。
みずほ銀行のシステム障害を巡る7つの疑問
- 4回のトラブルに関連はあるのか?
- 2月28日の危機管理体制はどうなっていたのか?
- なぜ2月末に大量処理をぶつけたのか?
- なぜ異変を検知できなかったのか?
- 「たった」70万件のデータ処理でなぜパンクしたのか?
- 2月28日の臨時作業についてリスクの大きさをどう見ていたのか?
- なぜ、みずほ銀行はシステム障害を繰り返すのか?
単なる「不運」だけで済まされない
「極めて重く受け止めている。心から深くおわび申し上げる」。みずほ銀行の藤原弘治頭取は2021年3月12日午後9時、ここ2週間で4回目となるシステム障害を踏まえて緊急の記者会見を開き、こう述べた。
4回目のトラブルは前日の3月11日夜に外国為替のシステムで発生した。ディスク装置が故障し、バックアップへの切り替えがうまくいかなかった。この影響で外貨送金の一部に遅れが生じた。
この4日前、3月7日にはカードローンのプログラム更新の過程でトラブルが発生。定期預金の預け入れができなくなった。さらに4日前の3月3日には通信ネットワークのハード故障によりATMが一時的に使えなくなった。
そして最も影響が大きかったのが2021年2月28日の1回目だ。データ更新処理が失敗し、その影響でATM4000台以上が止まった。
日付 | システム障害の概要 |
---|---|
2021年2月28日 | 70万件のデータ更新処理に失敗。ATM4000台以上で障害発生 |
2021年3月3日 | 通信ネットワークのハード故障で一部のATMが一時的に使えず |
2021年3月7日 | カードローンのプログラム更新で不具合。定期預金の預け入れができず |
2021年3月11日 | 外為関連システムでハード故障。切り替えに失敗し約300件の外貨送金に遅れ |
4回のトラブルに関連はあるのか。これが1つ目の疑問だ。みずほ銀行の説明などを踏まえると、発生箇所が異なり、原因も違うため、直接の関連性はないようだ。
だが、ここまで相次ぐと単なる「不運」だけで済まされない可能性が残る。何らかの共通点は本当にないのか。バックアップの仕組みやシステム更新の手順にさらなる問題は潜んでいないのか。みずほ銀行は検証し、詳細を説明する必要がある。
2つ目以降の疑問は、影響が最も広がった初回のシステム障害についてだ。改めて2月28日の経緯を振り返ってみたい。