全2065文字
PR

 みずほ銀行で相次いだシステム障害の盲点が見えてきた。2021年2月28日と3月3日に起こったシステム障害は、ATMの設定に問題があったことが浮き彫りになった。3月17日に記者会見したみずほフィナンシャルグループ(FG)の坂井辰史社長は「個々の事象に通底する問題をあぶり出し、しっかりと手を打っていくことが不可欠だ」と語った。

 「お客様、関係者の皆様に大変なご迷惑、ご心配をおかけし、心よりおわび申し上げたい」。記者会見の冒頭、坂井社長は相次いだシステム障害について、こう陳謝した。これまではみずほ銀行の藤原弘治頭取が矢面に立ってきたが、この日、坂井社長が記者会見の場に初めて立った。

システム障害について陳謝するみずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長(左)ら
システム障害について陳謝するみずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長(左)ら
(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

他行は20年以上前にATM設定見直し

 記者会見で明らかになったのが、システム障害の被害を広げた盲点だ。2月28日に起こったシステム障害では、定期預金の不具合がATMに波及し、みずほ銀行のATMの7割超に相当する4318台が一時停止した。さらに、ATMが通帳やキャッシュカードを取り込んだままになり、顧客が店舗などで立ち往生した。3月3日夜のシステム障害でもATMが通帳とカードを取り込んだままになった。

 このATMが通帳やカードを取り込む範囲の設定に盲点があった。坂井社長は「現在検証中だが、みずほ銀行のATMのシステム設定上、(通帳やカードを)取り込む範囲が他社と比較してかなり広いもようだ。これが被害を一段と拡大させた原因だと認識している」と語った。

 あるメガバンクの元CIO(最高情報責任者)によれば、自身の出身銀行は「ATMでの障害時に通帳やカードをできるだけ返却する方式を採っている」。従来は通帳やカードをATM内にとどめて行員が対応するやり方を採用していたが、20年以上前に通帳やカードを自動的に排出して顧客に一旦返し、改めて別の手段で取引をやり直してもらう方法に変えていたという。みずほ銀行は顧客対応チャネルの拡大などに合わせて、ATMの設定を見直せていなかった可能性がある。

 坂井社長は「取引が不整合になるような場合などを除き、通帳やカードを取り込まずにその場でお返しできるようにATMやMINORIのシステム設定を変更する必要がある」としたうえで「通帳やカードの取り込み仕様を変更すれば、今回のような事態は大幅に削減される」という見通しを示した。

 2月28日の定期預金の不具合は、紙の通帳を発行しない「みずほe-口座」への切り替えに伴うデータ更新作業が引き金を引いた。坂井社長は2月の月末に作業を実施したことについて「月末ではあるものの、定期性預金の取引量は(普通預金などの)流動性預金と比べてかなり少ないため、十分対応可能と当初判断した」と明かす。原因は「定期預金の一部ファイルの容量リミットへの考慮が及ばなかったことにある」(坂井社長)という。