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 日本瓦斯(ニチガス)がDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速している。IoT(インターネット・オブ・シングズ)やAI(人工知能)を使ってLP(液化石油)ガスの供給プロセスを改善し、決済業務のキャッシュレス化にも取り組む。相次ぐDXの原動力は、社外の有望な人材を結集したコミュニティーだ。

 2021年3月16日、ニチガスは川崎市でLPガスの新しい配送拠点「夢の絆・川崎」を稼働させた。施設内では設置したカメラがガスボンベに貼ったバーコードを読み取り、これまで作業員が行っていたボンベの管理作業を自動化する。ボンベの管理データと顧客のガス使用量のデータなどを基に、AIが最適なガスの充填計画を算出する。

「夢の絆・川崎」の外観。2万8700平方メートルの広さがある
「夢の絆・川崎」の外観。2万8700平方メートルの広さがある
出所:ニチガス
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 独自のIoT機器を使い、顧客のガス使用量も自動集計する。同社は2019年7月、ガス使用量を自動計測して同社のデータ基盤にオンラインで連携するIoT機器「スペース蛍」を発表した。顧客約90万件のガスメーターに設置を進めており、2021年3月17日時点で9割以上に設置を終えたという。

「スペース蛍」の外観。 無線通信規格「Sigfox」や「LTE-M」で通信する
「スペース蛍」の外観。 無線通信規格「Sigfox」や「LTE-M」で通信する
出所:ニチガス
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 決済業務のキャッシュレス化も進めている。2018年度にスマートフォンで送金できるサービス「業務用プリン」を導入。検針員と配送業者に対する報酬の支払いや社内の経費精算に適用した。顧客のガス料金支払いについてもキャッシュレス化を目指しており、社員へのデジタル給与支払いも「法制度が整えば導入を進める方針」(広報)という。

社外コミュニティー「トキワ荘」でDXを実現

 こうしたDXの取り組みを支えているのが、社外のDX人材のコミュニティーだ。個人の技術者やベンチャー企業の社長など、各分野で高い技術力や深い知見を持つメンバー、100人以上で構成している。和田眞治社長は、優れた多様な人材が集まっているという意味を込めて「トキワ荘」や「梁山泊(りょうざんぱく)」と呼ぶ。

 コミュニティーといっても実体はニチガスと過去に仕事をしたり和田社長と面識があったりする人材の緩やかなネットワークだ。現場の従業員や幹部がプロジェクトごとに人材を選び、和田社長が面談して協業を決める。所属組織は重視しないという。