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 2021年4月から65歳以上の高齢者を対象とした新型コロナウイルスワクチン接種が各自治体で始まる。神戸市は全国で初めて、市民の医療・介護レセプト(診療報酬明細書)データや健診データなどを連携させ、それを基にデータベースを作成し、ワクチンの効果や副反応の有無を自動抽出する取り組みを始める。本人の申告によらない、未知の副反応を抽出できる可能性があり、まとまった形の市民のデータから得られる実態を政策に反映するモデルになりそうだ。

市民60万人の健康状態を1年間追跡

 目的は新型コロナワクチンの効果検証と、自己申告によらない副反応の自動抽出である。データベースの解析によって「本人の申告では判明しない、副反応の疑いがある症状を捕捉できる可能性がある」と神戸市健康局健康企画課の三木竜介課長は説明する。

 厚生労働省は副反応疑い報告のほか、接種後の健康状態の調査を別途実施する計画だ。先行接種の医療従事者に加え、高齢者への接種が始まる4月以降は、集団接種の会場で希望者を対象に1回の接種で約50万人(3種類のワクチンをそれぞれ2回接種するため、計300万回接種分)にアンケートを取って、健康状態を調べるとしている。ただし、こうした調査では、本人が申告しない未知の副反応疑いなどの症状は捕捉できない。

 神戸市はまず、市民の国民健康保険(国保)や後期高齢者医療保険のレセプトデータ、健診データ、予防接種台帳に記載される新型コロナワクチン接種情報のデータを連携したデータベースを作成する。このデータベースに入れるデータを1年にわたり追跡する。

 神戸市民153万人のうち、データベースに含まれる対象は約60万人。レセプトデータや健診データなどそれぞれのデータベースはもともと異なるシステムで作成・管理されているが、「名前、生年月日、性別」を基にして個人単位で連結し、連携データベースを作成する。

 元のデータベースの情報は常に更新されるのに対し、連携データベースは月に1回更新し、更新するごとに解析する。連携データベースは匿名化したうえで、九州大学大学院医学研究院の福田治久准教授らによる研究グループ「LIFE Study」 が毎月解析する。2021年4月以降2022年3月まで毎月運用し、結果を公表する計画だ。