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 企業が自社専用の5G(第5世代移動通信システム)ネットワークを構築できる「ローカル5G」に注目が集まっている。様々な事業者が免許を申請するとともに、関連サービスの提供や実証実験を進めている。

 その1つが、FTTH(Fiber To The Home)やケーブルテレビインターネットといった固定通信サービスを提供する事業者だ。ローカル5Gを用いたFWA(Fixed Wireless Access:固定無線アクセス)のサービス実現を模索し、実証実験などの取り組みを進めている。

 固定通信事業の狙いは、集合住宅ユーザー向けインターネット接続サービスの強化。VDSL(Very high bit rate DSL。超高速デジタル加入者線)などをローカル5GのFWAに置き換えることで、ラストワンマイルの高速化を狙っている。

光配線にするのが困難な集合住宅も

 FWAは、ユーザー宅近くのラストワンマイルだけ無線を用いるシステムである。ラストワンマイルよりバックボーン側は、光ファイバーなどでつなぐという構成を採る。一部の固定通信事業者は、そのラストワンマイルとしてローカル5Gを使いたいと考えている。

 なぜ集合住宅のユーザーがターゲットなのか。そこには集合住宅ならではの問題がある。

 例えば集合住宅向けFTTHサービスは、古くからあるサービス品目だと集合住宅内が電話線を使うVDSLになっており、これ以上の高速化が望めない場合がある。これらを光配線にすれば高速化を図れるが、集合住宅内の配線は通信事業者が手を出しにくい領域となっている。「配線工事には集合住宅の管理組合が合意しなくてはならないが、それが得られない」という理由で古い配線のまま使い続けているユーザーもいる。また、物理的に光配線にすることが難しいケースもあるようだ。

 FWAでサービスを提供すればユーザーがCPE(Customer Premises Equipment)を置くだけで済み、配線替えは不要となる。通信事業者、ユーザーともに集合住宅内の配線状況に影響されず高速な接続サービスを提供し、加入できるというメリットがある。

VDSL方式のFTTHサービスとローカル5Gを用いたFWAサービスの構成の違い。オプテージの例を示した。オプテージへの取材を基に編集部で作成
VDSL方式のFTTHサービスとローカル5Gを用いたFWAサービスの構成の違い。オプテージの例を示した。オプテージへの取材を基に編集部で作成
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 ここでは2社の取り組みから、ローカル5Gを用いたFWAのメリットと、実現に向けての課題を見ていく。