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 串カツ田中ホールディングスがデジタル技術を駆使した新業態に乗り出した。投入する新商品は意外にも「串カツカレー」。注文はネット経由で提供形態は宅配(デリバリー)のみ、決済はキャッシュレスと、一連のプロセスをデジタル化した。注文情報をシステムで一元管理し業務効率も高めた。新型コロナ禍で飲食店への逆風が続く中、「串カツDX」は奏功するか。

 2021年3月24日に新しく売り出したのは「串カツ田中の串カツカレー」。カレーライスに串カツをトッピングとして選び、自分好みのメニューを作れる。価格は串カツを1~2本トッピングした場合でおおむね1200~1500円程度という。

 「カツとカレーの相性は鉄板。串カツはおかずの一品として注文されることが多いため利用機会が限られるが、串カツカレーは1回の食事として完結するので注文機会を増やせるのではないか」。事業子会社、串カツ田中の織田辰矢取締役営業本部長は新メニューの狙いをこう語る。

「串カツ田中の串カツカレー」のメニュー例
「串カツ田中の串カツカレー」のメニュー例
(出所:串カツ田中ホールディングス)
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あえてネット限定、デリバリー限定

 新たなメニューを追加しただけではない。注文受付や提供の形態を従来に比べて限定した。顧客はデリバリーサービスのスマートフォンアプリやWebサイトからメニューを選んで注文。既存店舗で調理するものの、注文の受付はネット経由のみで店頭では原則として注文を受けない。提供形態も宅配のみで、イートインや持ち帰りといった形態では提供しない。

 イートインや持ち帰りも可能にすれば販売機会が増えそうなものだが、なぜネット注文とデリバリーのみに踏み切ったのか。織田取締役はブランド維持と事業運営の両面で決断した結果という。「串カツ田中は串カツとお酒を楽しんでもらう店。串カツ屋のブランドを崩さないため、店舗での提供は見送った」。一方で新型コロナ禍で客足が遠のき、店舗の稼働率は落ちている。既存の串カツ業態に影響を与えず店舗の稼働率を高めるため、新メニューは別業態での提供を決めた。

 コロナ前の1店舗の全売り上げは1日当たり12万~13万円。既に串カツ単体の宅配に乗り出しており、好調な店舗の売り上げは1日当たり2万~3万円に上る。宅配専門とした新業態への期待は小さくない。

織田取締役は「コロナ禍が過ぎ去っても飲食店の需要はすぐには回復しないだろう。落ち込みを埋めるためにも宅配など新たな試みが必要だ」と語る
織田取締役は「コロナ禍が過ぎ去っても飲食店の需要はすぐには回復しないだろう。落ち込みを埋めるためにも宅配など新たな試みが必要だ」と語る
(撮影:日経クロステック)
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