2021年3月16日~20日の期間で米国のテクノロジーと音楽・映画のイベント「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)2021」が開催された。コロナ禍で急きょオンライン開催に切り替わった20年に引き続き、完全オンライン2年目の21年は、PCやスマホだけでなく、VR(仮想現実)ヘッドセットでもイベントに参加できるようにする画期的な試み「SXSW ONLINE XR」を実施した。
SXSW ONLINE XRはVRメタバース(人々が交流可能なVR空間)の交流アプリ「VRChat」内に構築。例年SXSWが開催されてきた米テキサス州オースティンの街並みをVRメタバースに再現し、街歩きをしながら、点在するイベント会場にふらりと入り、新進気鋭のアーティストによるライブや映像作家の斬新な作品を楽しみ、カンファレンスに参加するといったSXSW本来の楽しみ方を再現してみせた。
今回のSXSW ONLINE XRは実際、どんな様子だったか。VRメタバースでのマーケティングなどを手掛ける往来(東京・港)社長の東智美さんと、VRメタバースの動向に詳しいパナソニック子会社Shiftall(シフトール、東京・中央)社長の岩佐琢磨さんにイベントの感想を聞いた。岩佐さんは「SXSWは今回、新たな金鉱を掘り当てた。来年以降はXRエンタメの最重要イベントになる」と予想する。
「忘れていた海外展示会の感覚」
「SXSW ONLINE XRはVRの完成度が高く、戸惑いはなかった。SXSWへの参加は初めてだったが、違和感なくすぐ溶け込めた」と東さんは話す。1年半程前からVRメタバースの可能性を探って様々な活動をしており、これを事業化するため21年3月に往来を立ち上げた。
街を歩くと展示物を収めた建物があり、中に入ると展示作品のポスターが並ぶ。それぞれが展示作品の入り口になっており、触ると作品の世界に入っていく仕組み。「こなれたインターフェースとわかりやすく丁寧な造りで感心した」(東さん)