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 2021年2月26日にオンラインで開催されたカンファレンス「Japan Open Innovation Fes 2020→21」。イベント冒頭に行われた「オープンイノベーション最前線」セッションでは、オープンイノベーションの現状と今後について識者が意見を交わした。

「オープンイノベーション最前線」セッションの様子
「オープンイノベーション最前線」セッションの様子
(出所:Japan Open Innovation Fes 2020→21、オンラインセミナーを筆者がキャプチャー)
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 登壇者はグロービス・キャピタル・パートナーズ(東京・千代田) COO(最高執行責任者)の今野穣氏、アルファドライブ(東京・千代田)代表取締役社長 兼 CEO(最高経営責任者) ファウンダーの麻生要一氏、東急 フューチャー・デザイン・ラボ イノベーション推進担当の加藤由将氏の3名。イベントの主催者であるパーソルイノベーション(東京・港)eiicon company カンパニー長の中村亜由子氏がモデレーターを務めた。

 セッションでは「オープンイノベーション」が十分に浸透し、新規事業を生み出す手法の1つとして定着した現状が語られた。その上で現状、求められているのは、生み出した新規事業を企業の成長戦略に組み込んでいく取り組み。そのためには経験値や人材が必要となり、今後は大企業同士のオープンイノベーションが活発化すると予測する。

当たり前になった「オープンイノベーション」

オープンイノベーションが注目される背景
オープンイノベーションが注目される背景
モデレーターの中村氏は「製品市場の短命化」、他業界からプレーヤーが参入することによる「既存市場の破壊」、IoT(Internet of Things)化やAI(人工知能)化などによる「第4次産業革命」などによって「共創が必要になってきている」と指摘した(出所:eiicon company)
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 VC(ベンチャーキャピタル)として活動するグロービス・キャピタル・パートナーズの今野氏は「最近オープンイノベーションという言葉を聞かなくなった」と切り出した。コロナ禍による業績悪化や本業回帰で取り組みから撤退した企業も確かにあるが、それ以上に「世の中で一般化し始めたからだ」と今野氏は指摘する。当たり前になってきたためにあえて口にしなくなっただけで、「実態として、いろんな取り組みが進み始めている」(今野氏)という。

グロービス・キャピタル・パートナーズの今野穣氏
グロービス・キャピタル・パートナーズの今野穣氏
同社COO(出所:Japan Open Innovation Fes 2020→21、オンラインセミナーを筆者がキャプチャー)
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 アルファドライブの麻生氏も「(大企業などの)普通の事業の成長戦略や継続性の面では、オープンかどうかを意識しなくなっている」と話す。

 麻生氏はまた、コロナ禍による社会状況の変化の影響も指摘した。既存事業がダメージを受けた結果、変革の機運が高まっているというのだ。これまで意思決定を先送りしがちだった大企業でも、内部のマインドが大きく変わっており、「チャレンジを推奨し、大きな決定をしやすくなっている」(麻生氏)

アルファドライブの麻生要一氏
アルファドライブの麻生要一氏
同社代表取締役社長 兼 CEOファウンダー(出所:Japan Open Innovation Fes 2020→21、オンラインセミナーを筆者がキャプチャー)
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