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 日立製作所は2021年3月31日、約1兆円を投じて米グローバルロジック(GlobalLogic)を買収すると発表した。同じ日、日立のIT事業を長くけん引し、「ミスターIT」といえる塩塚啓一副社長が退任。グローバルロジック買収で中心的役割を担った徳永俊昭副社長が後を継いだ。今回の買収劇は日立経営陣の世代交代を映し出している。

「世界のLumada」に向けた一手

 「世界のLumadaにするための買収だ」。2021年3月31日、日立の東原敏昭社長はオンラインで開いた説明会で、グローバルロジック買収の狙いをこう語った。

 日立は2021年7月までに、米国のIT事業を統括する日立グローバルデジタルホールディングス(HD)経由でグローバルロジックを買収する。有利子負債の返済を含めた買収総額は96億ドル(約1兆368億円)。日立にとっては、スイス重電大手ABBのパワーグリッド事業の買収に次ぐ規模になる。

 日立はIoT(インターネット・オブ・シングズ)の「Lumada」事業を成長戦略の中核に据え、経営資源を注ぎ込んできた。2021年3月期の同事業の売上収益(売上高に相当)は前期比6%増の1兆1000億円を見込む。

 Lumada事業のさらなる拡大に向けて、欠けていたピースが「グローバル」だった。2021年3月期の同事業の売上収益に占める海外の比率は3割程度にとどまる見通し。グローバルロジック買収で弱点を補う。

日立はグローバルロジック買収でITセクターとのシナジーを狙う
日立はグローバルロジック買収でITセクターとのシナジーを狙う
(出所:日立製作所)
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 グローバルロジックは2000年創業。米シリコンバレーに本社を構え、顧客は通信や自動車、ヘルスケアなど400社を超える。2021年度の売上収益は約12億ドル(約1296億円)を見込む。2028年度には、調整後EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)で10億ドル(約1080億円)超の達成を目指している。

 グローバルロジックの強みは、アジャイルやクラウドを駆使した「協創型」のアプリケーションやサービス開発にある。世界に2万人以上の従業員を抱え、顧客との協創を担う「デザインスタジオ」を世界8カ所に展開する。日立は自前の協創拠点や人材と、グローバルロジックが持つリソースを掛け合わせ、Lumadaのグローバル展開を加速させる青写真を描く。