全2486文字

 「2020年、我々の売り上げや利益は微増にとどまった。それまでの数年間と比べて顕著に鈍化している」。2021年3月31日、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)の胡厚崑・副会長兼輪番会長は2020年12月期決算発表の場でこう述べた。

ファーウェイの胡厚崑・副会長兼輪番会長
ファーウェイの胡厚崑・副会長兼輪番会長
(撮影:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]

 売上高は前期比3.8%増の8914億元(約15兆円)で、純利益は同3.2%増の646億元(約1兆円)の増収増益。過去5年間の年平均成長率は売上高で14.3%、純利益で14.9%だった。「成長率は(10ポイント以上)伸び悩んだが、会社業績はほぼ予想通りの結果」(ファーウェイ)とは言うものの、「非常に困難な1年だった」と胡氏は振り返る。

「米国の不公正な制裁でスマホ事業に悪影響」

 「伸び率が鈍化したのは、米国の圧力によってコンシューマービジネスにおけるスマートフォンビジネスが大きな影響を受けたからだ」(胡氏)。売上高の5割以上を占めるコンシューマービジネスの売上高は前期比3.3%増の4829億元だった。一方、通信インフラ事業は中国における5G(第5世代移動通信システム)基地局向けの通信機器需要を取り込み、前期比0.2%増の3026億元と堅調に推移した。法人向け事業は前期比23%増の1003億元だった。

売上高の5割以上を占めるコンシューマービジネスの売上高は前期比3.3%増にとどまった
売上高の5割以上を占めるコンシューマービジネスの売上高は前期比3.3%増にとどまった
(出所:中国・華為技術)
[画像のクリックで拡大表示]

 「米国の圧力」とは、米政府が2019年5月にファーウェイと関連会社68社を安全保障上や外交政策上の懸念があるとして事実上の禁輸リストである「エンティティーリスト」に加えて以降の制裁措置を指す。米政府は2020年5月と8月にも、ファーウェイに対する半導体の輸出規制の強化を相次いで発表。同年9月から本格適用され、同社に対する高性能半導体の輸出が困難になった。

 ファーウェイはサプライヤーを多様化するなどの策を講じたが、生産が制限され、スマホ事業の売り上げは落ち込んだ。ここでパソコンやスマートディスプレーなどの売り上げが急速な成長を遂げたため、スマホの売り上げ減を補った格好だ。とは言え「米国の不公正な制裁を受けたが故に、スマホ事業が悪影響を受けているのは事実だ」(胡氏)。

 実はファーウェイに対する米制裁の影響は日本企業や日本市場にも及んでいる。同社によれば「日本はファーウェイのグローバルなサプライチェーン(供給網)を支える重要な供給源」。その調達額は年々増え、2019年には日本企業から1兆600億円の製品・サービスを購入したという。

 2020年は米制裁の影響でソニーやキオクシア(旧東芝メモリ)といった大口調達先がファーウェイ向けの半導体出荷を一時停止した。その後、ソニーもキオクシアも米政府に取引再開を申請して認められた。

 ファーウェイは2020年における日本企業からの調達額を明らかにしなかったものの、「2020年を振り返ると状況は悪くなかった」とファーウェイ日本法人の王剣峰会長は話す。「日本からは半導体のほかに電子部品も調達している。影響が出ている分野は半導体が中心で、電子部品については日本のサプライヤーが尽力してくれた」(王会長)。