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 米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が2021年2月に発表した調査「APACのデジタルの可能性を拓く:変化するデジタルスキルへのニーズと政策へのアプローチ」によると、日本で業務環境においてデジタル技術を活用するデジタルワーカーは、日本の就業者数の約58%に当たる3860万人という。この調査では2025年までに76%増に当たる2950万人がさらに必要と試算した。2950万人の内訳は、スキルアップを要する非デジタルワーカー、2025年までに就職する学生、就業機会を得るために基本的なデジタルスキルの習得が必要な失業者などだ。

 日本の就業者数は2020年平均で6676万人。一方、先に示した必要とされるデジタルワーカーは3860万人+2950万人=6810万人。つまり、日本で働く人のほぼすべてが2025年までにデジタルワーカーになる必要があるというわけだ。

 この調査は日本の500人以上のデジタルワーカーを対象とした。その結果、現在はクラウドスキルを活用していないデジタルワーカーのうち28%が2025年までにSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)アプリケーションとツールの活用などといったクラウドを活用するスキルが業務で必須になると回答。クラウドアーキテクチャーの設計が今後5年間、日本で最も急速に需要が高まるスキルの1つとした。中でも重要なのが製造業や小売業など非IT分野におけるクラウド技術の活用という。

2021年度から全国の職業訓練にクラウドスキル導入予定

 厚生労働省所管の職業能力開発総合大学校(職業大)は2021年度からクラウドスキルを全国の職業訓練で取り入れる予定だ。2019年度から少しずつ職業訓練指導員育成のための教育訓練カリキュラムにAWSが提供するクラウドスキルを中心としたトレーニングプログラムを採用してきた。

 「高度なデジタル人材の育成は文部科学省系の所管だが、職業大は中小企業や非IT業界のデジタル化に対してクラウドサービスを活用することで貢献したい」と職業大の遠藤雅樹准教授は話す。

スマート工場を模した「ラーニングファクトリー」のシステム構造
スマート工場を模した「ラーニングファクトリー」のシステム構造
(出所:職業能力開発総合大学校)
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 遠藤准教授はAWSのクラウド環境を活用して次世代のものづくりを学ぶために、既に2つの取り組みを進めている。1つは「ラーニングファクトリー」と呼ぶプロジェクトだ。IoT(インターネット・オブ・シングズ)やAI(人工知能)、ロボット、クラウドコンピューティングなどを取り入れたスマート工場を模した小さな工場を作り、第4次産業革命でのものづくりを実習する。ものづくりを構成する各要素のつながりを可視化し、システム全体を見渡して体系的にとらえるといったものだ。今後は実データと連動して、データを活用した生産効率化なども学ぶ。職業大での授業以外に全国展開し、年間50人がラーニングファクトリーを用いて実習している。