新型コロナウイルスの影響で働く環境が激変してから早1年が経過した。新型コロナウイルスの感染拡大は収まらず、2021年4月に入社した新入社員もリモートワーク中心の働き方になるだろう。企業にはリモート環境における新人の育成・サポートが求められる。
では、企業は新入社員をどのような体制で受け入れ、育成すればいいのか。参考になるのが、企業の経営・人事課題などの解決を支援するリクルートマネジメントソリューションズが2021年3月26日に公表した調査だ。
生き生きしている、ヘトヘトになっているといった新入社員の「コンディション」が入社してから時がたつにつれてどう変化し、また2020年度入社の新人と過去の新人ではどう違うのかなどを同社が調査・分析したところ、コンディションは例年になく良好だが成長を実感しにくいと感じているといった実態が浮かび上がった。
多くの新人はテレワークでも負担感じず
公表した「新入社員の入社後コンディション推移調査」は同社が開発した新人・若手向けのコンディションサーベイ「ReCoBook」のデータをまとめた。2015年から現在までの約6年間にわたり、ユニークユーザー2万3000人の延べ20万件に及ぶデータを蓄積している。
新人には基本的に月1回の頻度で「負担感」や「モチベーション」についてそれぞれ5つの設問で尋ねた。その結果を統合的に判定し、5段階の「コンディション」で表している。具体的には良好な順に「イキイキ」「イキイキ(要注意)」「モヤモヤ」「ギリギリ」「ヘトヘト」である。
2020年度入社の新人は1年間を通じて、良好なコンディション(「イキイキ」と「イキイキ(要注意)」の合計)を維持できた割合が大きかった。しかも例年と比べてコンディションが良好な社員の割合が大きく、悪化する社員の割合が小さかった。実に、85.6%の新人が2021年2月時点でコンディションが良好であり、この割合は過去6年間で最も高かった。
この結果について、同社の近藤栞奈HRアセスメントソリューション統括部アセスメントサービス開発部研究員は「コロナ禍の就業環境を反映した結果だ」とみる。2020年度入社の新人はテレワークによるリモート研修を受けた人も多い。自宅などの慣れた環境にいるため、気疲れなどでコンディションが悪化する新入社員が少なかったとみられる。
また「働く環境」や「周囲のサポート」に関する負担感も例年に比べて上昇しにくい傾向があった。近藤研究員は「2020年度の新人はデジタルネーティブ世代なのでビジネスチャットによるコミュニケーションに対応できていることが要因ではないか」とみる。デジタルネーティブ世代は相手のペースに合わせてコミュニケーションを取ることに慣れており、上司にチャットで質問できる環境であることは実際に対面で話すよりも緊張が少なく、負担を感じる割合が減ったのではないかと分析している。