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 買収提案に揺れる東芝。英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズなどからその提案を受けた。実現すれば2.2兆円を超える巨額の買収となる。東芝の純資産は2020年12月末時点で1.1兆円しかない。その価値の約半分は無形資産価値(時価総額-純資産)と言える(図1)。

図1 東芝の無形資産価値
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図1 東芝の無形資産価値
時価総額などは買収計画の発表前と発表後の数字を並べた。東芝の資料とQUICKのデータに基づき正林国際特許商標事務所が作成。

 実は東芝の無形資産価値は大きく、買収計画の発表前でも6700億円以上あった。無形資産/純資産倍率は0.61倍と、日立製作所(0.32倍)やパナソニック(0.37倍)を大きく上回っていた。

 さらに、30%と言われる買収プレミアムが株価を引き上げ、現在の無形資産価値は9600億円に達していて、無形資産/純資産倍率も0.87倍まで上昇している。

業績の回復スピードは遅い

 東芝は2015年2月に不正会計が発覚し、巨額の赤字を計上した。その後、子会社の切り売りなどでキャッシュフロー(CF)を確保し、事業リストラを進めてきた。だが、利益水準は回復せず、今期も新型コロナウイルス禍の中で減収減益の決算予想を発表している(図2)。

図2 東芝の業績推移
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図2 東芝の業績推移
東芝の資料に基づき正林国際特許商標事務所が作成。

 不正会計発覚後、東芝はコア事業部門を[1]エネルギーシステム、[2]インフラシステム、[3]ビル、[4]リテール&プリンティング、[5]デバイス&ストレージ、[6]デジタルの6つに絞り込み、再建の途上にある。だが、業績回復の歩みは全体的に遅い(図3)。

図3 東芝のセグメント別営業利益推移
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図3 東芝のセグメント別営業利益推移
ビル部門は2019年度にインフラシステムから分離。東芝の資料に基づき正林国際特許商標事務所が作成。

 主にインフラシステム部門とビル部門が安定した利益を確保しているが、売上高で両部門に次ぐデバイス&ストレージ部門の不振が足を引っ張っている。