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 日本で「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉が市民権を得る何年も前から、製造業のデジタル化プロジェクトは始まっていた。2011年にドイツでまず提唱された「インダストリー4.0」である。インダストリー4.0は日本でも話題となり、様々な議論が展開された。インダストリー4.0の目指すところは紛れもなくDXであり、製造業は最もDXが進んでいる業界と考えてもおかしくはない。

 実際のところはどうなのだろうか。製造業DXの取り組み状況をつかむべく、日経BP総合研究所 クリーンテックラボと日経クロステックが日本科学技術連盟(以下、日科技連)の協力を得て年商100億円以上の製造業321社に対して20年12月に実施した調査から、製造業DXの実情を探ってみよう。

調査結果のポイント
  • 回答企業は年商100億円以上の製造業321社
  • 78.5%が「DXを重要」と認識
  • 44.9%が「DXにすでに取り組んでいる」
  • DX「取り組み順調」は12.3%
  • 目的が「事業モデルの変革」はわずか22.5%

321社の有効回答から「本当の姿」を探る

 まずは、調査概要を示す。年商100億円以上の製造業4256社(日科技連の賛助会員企業と帝国データバンクのリストから抽出)に調査票を送付し、回答期限までに得た321社の回答を有効とした。回答者のプロフィルは図1図2の通りである。業種は幅広く、企業規模は中堅企業を中心に準大手企業、大手企業まで網羅している。

図1 回答企業の業種
図1 回答企業の業種
出所:『製造業DX調査レポート』(日経BP)
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図2 回答企業の規模(左:従業員数、右:年間売上)
図2 回答企業の規模(左:従業員数、右:年間売上)
出所:『製造業DX調査レポート』(日経BP)
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78.5%が「DXを重要」と認識し、44.9%が「すでに取り組んでいる」と回答

 まず押さえておきたいことは、製造企業の「DXへの意識」である。インダストリー4.0が早くから議論されていた業界なだけに、「重要である」と答えた企業が多いことが予想される。結果は図3の通りで、「とても重要である」34.0%、「まあ重要である」44.5%で、この2つで78.5%に上る。「まったく重要ではない」1.2%、「あまり重要ではない」3.7%で、これらを合わせても5.0%にすぎない。「DXの取り組みは重要である」という考えは、製造業全体に広がっていると言える。

図3 DXへの意識
図3 DXへの意識
出所:『製造業DX調査レポート』(日経BP)
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