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 日経BP総合研究所 クリーンテック ラボと日経クロステックは2020年12月、製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)に関する2つの調査を実施した。1つは321社から回答を得た調査(以下「企業調査」と記す)、もう1つは製造業の現場で働く3000人から回答を得た調査(以下「現場調査」と記す)である。本記事では、この2つの調査から「DXに対する経営と現場のギャップ」に注目する。

 企業調査は日本科学技術連盟(以下、日科技連)の協力を得て、年商100億円以上の製造業4256社(日科技連の賛助会員企業と帝国データバンクのリストから抽出)に調査票を送付し、回答期限までに得た321社の回答を有効とした。こちらは企業の公式回答であるから経営層の意向が色濃く反映されているはずだ。一方の現場調査は、「日経クロステック」と「日経ビジネス電子版」のメールマガジン登録者を中心に、製造業に関わる3000人から回答を得た。こちらは現場で働く個人の意見の集合といえる。それぞれの調査の興味深い結果のデータとその分析は以下の記事を参照されたい。

調査結果のポイント
  • 企業調査と現場調査、2つの調査結果を比較分析
  • 経営層の想定より「ボトムアップ」を自負する現場は少ない
  • 「順調ではないDX」では経営層の「プロジェクト主導」がわずか4.8%
  • 「DXは重要」と解答した現場は半分以下
  • 36.8%が「DXは何かよく分からない」

現場はボトムアップと認識していない

 「DXに対する経営と現場のギャップ」の指標として、最初に注目したのはDXの進め方である。端的に言えば、「トップダウンかボトムアップか」ということだ。経営層と現場に温度差があれば、それがギャップとなって表れてくると考えたからだ。早速、結果を見てみよう。「DXの進め方はトップダウンかボトムアップか?」と尋ねた企業調査の回答は図1、現場調査の回答は図2である。

図1 DXの進め方はトップダウンかボトムアップか?(企業調査)
図1 DXの進め方はトップダウンかボトムアップか?(企業調査)
出所:『製造業DX調査レポート』(日経BP)
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図2 DXの進め方はトップダウンかボトムアップか?(現場調査)
図2 DXの進め方はトップダウンかボトムアップか?(現場調査)
出所:『製造業DX調査レポート』(日経BP)
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