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 米運輸安全委員会(NTSB)は2021年3月5日、米United Airlines(ユナイテッド航空)のBoeing(ボーイング)777-200型機で同年2月20日に発生したエンジン損傷事故に関する事故調査の中間報告書を公表した。エンジンの損傷状況の詳細と、事故の発端とみられているファンブレードの破断面に疲労破壊の痕跡が見つかったことを明らかにした(図1)。

主翼先端方向から見た写真
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胴体方向から見た写真
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図1 損傷したエンジンの外観
事故を起こしたボーイング777の右側エンジン(P&W製)では、側面を覆うカバーなど多くの部品が脱落していた。​(出所:NTSB)

離陸の約4分後にエンジン火災が発生

 事故機であるユナイテッド航空328便は現地時間の2021年2月20日午後1時4分ごろ、米国コロラド州のデンバー国際空港の25番滑走路からハワイ州ホノルルに向けて飛び立った。約4分後、同機は平均海面高度約3810m(1万2500フィート)を上昇していた。乱気流を素早く通過するために機長がスロットルレバーを前に倒し、エンジンの出力を増大。その直後にエンジンが大きな音を立てて右側エンジンが停止した。

 エンジンの火災警報も作動した。エンジン火災のマニュアルに沿って乗務員は消火活動を実施したが、火災警報は着陸に向けて風下に入るまで消えなかった。乗務員は航空交通管制(ATC)に緊急事態を宣言し、デンバー国際空港に緊急着陸することを表明。また、安全性と時間上の理由から、燃料を投棄せずに着陸することを選んだ

* 航空機には安全に着陸するための重量制限(最大着陸重量)が型式ごとに決められている。着陸時は機体(降着装置)に大きな衝撃が加わるためだ。通常は飛行する間に燃料を消費して機体が軽くなるが、今回は出発直後の事故で着陸時の重量制限を超えていた。

 機長は右側エンジンが停止した状態で26番滑走路へ入り、無事に着陸を成功させた。幸い229人の乗客と10人の乗組員にけがはなかった。空港救助隊(ARFF)がすぐに出動し、滑走路上で停止した機体の右側エンジンに水と発泡剤を散布。エンジンから出ていた火はすぐに消し止められた。乗客は航空機から降り、バスでターミナルに移動した。