全3156文字

ファンブレード2枚が破断していた

 事故機のエンジンは米Pratt and Whitney(プラット・アンド・ホイットニー、以下P&W)製の「PW4000」シリーズ(具体的にはPW4077 )。事故を受けてNTSBは航空機の構造や動力装置の専門家を中心としたチームを立ち上げた。冶金学や整備記録、フライトレコーダーの専門家も遠方から調査を支援した。フライト・データ・レコーダー(FDR)とコックピット・ボイス・レコーダー(CVR)は分析のためにNTSB の研究所に送られた。

 エンジンの被害は、着陸時の滑走距離を短縮するために使う「逆推力装置(スラストリバーサー)」の外板とハニカム構造部分に及んでいた。エンジン部品がいくつか民家などに落下。NTSBや地元の保安機関は事故後の数日間で落下物のほとんどを回収し、どの部材かを特定した(図2)。

図2 地上に落下したエンジン部材
[画像のクリックで拡大表示]
図2 地上に落下したエンジン部材
事故ではインレットカウル(空気吸入口の外周先端部)のように大きな部品も含め、多くが住宅地を含む地上に落下した。事故後、数日間でほとんどを回収し、どの部材かを特定した。(出所:NTSB)

 事故後の調査では、エンジンの最も前方にあるファン(第1段低圧圧縮機、LPC)の状態も確認した。回転軸にファンを取り付ける役目などを担う「ファンハブ」は無傷だが、手で回せなかった。チタン合金製のファンブレード(22枚)の根元は全てファンハブに固定されていたものの、うち2枚は破損していた(図3)。この破片が、周辺部品の破損や発火の原因になったとみられる。なお、残りのブレードは折れていなかったが、いずれも一部が損傷していた。

図3 正面から見たファンブレード
[画像のクリックで拡大表示]
図3 正面から見たファンブレード
22枚のファンブレードのうち2枚が破断していた。1枚はほぼ根元から、もう1枚は中央付近で破断している。(出所:NTSB)

 ファンブレードの破断位置は2枚で少々異なる(図4)。1枚は、前縁側が根本から約13cm(5インチ)上、後縁側が根本から約19cm(7.5インチ)上を結ぶように破断していた。破断面には疲労破壊の特徴がみられた。もう1枚の破断位置は、前縁側が根本から約66cm(26インチ)上、後縁側が根本から約60cm(24インチ)上を横切るよう。2枚目のブレードの破断面には、過負荷が原因とみられるせん断破壊(シャーリップ)の痕があった。

図4 破断した2枚のブレードの拡大写真
[画像のクリックで拡大表示]
図4 破断した2枚のブレードの拡大写真
根元で破断していたブレードの破断面を見ると、内部が中空構造になっているのが分かる。(出所:NTSB)