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 LED照明製品を生産するパナソニック ライフソリューションズ社の新潟工場(新潟県燕市)は、ロボットやIoT(Internet of Things)技術を使いこなす同社の「スマートファクトリー」である。その一方で、独自の動力を必要としないシンプルで安価な「からくり」を活用した改善活動にも力を入れている。

 「からくりインバータ」も、その1つだ(図1)。導入しているのは、天井に取り付けて使うLED照明のベースライトの生産ライン(図2)。詳細は後述するが、ベースライトの自動組立機に樹脂部品を自動供給する役割を果たしている。「第25回からくり改善くふう展2020」において、アイデア賞を受賞した作品だ。

図1 パナソニック新潟工場の「からくりインバータ」
図1 パナソニック新潟工場の「からくりインバータ」
LEDベースライトの自動組立機に、細長い白色のカバー部品を供給する。モーターや圧縮エアーといった独自の動力を必要としない。写真では7本のカバー部品が部品台にセットされている。(出所:日経クロステック)
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図2 天井に取り付けて使うLEDベースライト
図2 天井に取り付けて使うLEDベースライト
カバー部品は白色半透明のポリカーボネート樹脂製。LEDの光を拡散する役割がある。断面形状はかまぼこ型。長さは約1.3m、質量は約200g。(出所:日経クロステック)
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からくりインバータが動作する様子(動画)
(出所:日経クロステック)

* からくり改善くふう展
工場の改善活動で生まれた「からくり」の展示会。日本プラントメンテナンス協会主催。新型コロナウイルス感染症の影響で、2020年の同展は2021年3月23~26日のオンライン開催となった。50社が162作品を出品した。

通い箱の交換で止まっていた部品供給

 パナソニック新潟工場では、LED照明の製品群を月産数十万台規模で生産している。上述のカバー部品をはじめ、あらかじめ製造した様々な部品を内製の自動組立機に供給して、最終的な製品に仕上げていく。

 課題だったのは、カバー部品の供給を人手に頼っていたこと(図3)。自動組立機には3秒ごとに稼働と停止を繰り返すコンベヤーがあり、カバー部品の供給口になっている。従業員はコンベヤーが動くタイミングに合わせて通い箱からカバー部品を取り出し、供給口に1本ずつ置いていた。

図3 かつては人手だった部品供給
図3 かつては人手だった部品供給
写真左の箱状の装置が、LED照明の自動組立機。3秒ごとに稼働と停止を繰り返すコンベヤーの上に、人手でカバー部品を供給していた。写真右下が通い箱である。(出所:パナソニック)
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 通い箱が空になれば、新しいカバー部品が入った通い箱と交換しなくてはならない。従来は、通い箱を交換するために部品供給を一時的に中断していたという。

 分析してみると、通い箱を載せた台車の交換作業は24時間当たり145回ほど発生していた。交換作業1回当たりの時間は30秒ほどだが、1カ月分を積算すると8.5時間にもなる。これは従業員1人の1日分の勤務時間に相当する。これを何とか省力化できないか――。そこで、部品供給を自動化すべく開発したのが、からくりインバータだ。