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 どれだけ優れた商品も、売り場で埋もれてしまえば購入にはつながらない――。一瞬で通り過ぎる消費者に魅力や特徴をいかに一目で伝えるかはメーカーや小売りにとって重要なテーマだ。

 マクロミルは2021年3月30日、NECの視線推定技術を使い、消費者がどのように買う商品を決めているか分析するサービスを始めた。購買にいたる消費者の心の動きを読み解ければ、メーカーのパッケージや販促物、小売りの品ぞろえや棚割りの作り方を変える可能性を秘めている。

マクロミルは視線の動きを基に消費者の購買行動を分析するサービスを始めた
マクロミルは視線の動きを基に消費者の購買行動を分析するサービスを始めた
(出所:マクロミル)
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 マクロミルの新宿オフィスにある広さ70平方メートルほどの模擬店舗に、カメラ付きの棚を設置。NECの「遠隔視線推定技術」で消費者役の被験者が商品を見た順番や見ていた時間を捕捉できるようにした。被験者に模擬的な買い物をしてもらった後、視線の動きに合わせて考えていたことやパッケージから受けた印象、購入商品を選んだ理由などをマクロミルが聞き取り、購買行動を分析する。

 同サービスに使う遠隔視線推定技術を開発したのはNECだ。目頭や目尻、瞳といった目の周辺の特徴点を正確に特定することで、視線の方向を算出できる。マスクをしたままでも個人を特定できる精度を持つ同社の顔認証技術を基盤に開発した。

目の周辺の特徴点を高精度に検出して、視線の方向を推定できる
目の周辺の特徴点を高精度に検出して、視線の方向を推定できる
(出所:NEC)
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 最大の特徴はWebカメラや防犯カメラ、スマートフォンのカメラで撮影した映像からでも視線を検知できる点。10メートル離れても視線を検知できるという。遠隔という名前のゆえんだ。一般的な視線分析サービスは、これまで被験者にヘッドセットを装着してもらい、瞳孔に正確に反応するよう機器を設定する必要があるなど手間がかかるケースが多い。200人のモニターを調査するのに300万~500万円の費用がかかっていたという。新サービスは70万円程度、1カ月ほどかかっていた納期は3日ほどで済む。