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 「今を逃すと10年後になってしまう」。横浜銀行の小貫利彦執行役員ICT推進部長は、勘定系システムのオープン化に踏み切る理由をこう語る。メインフレームの更新は10年スパンが原則。ここで決断しないと、次にメスを入れるタイミングは遠い先になってしまうわけだ。

 横浜銀行を中心に、北陸銀行、北海道銀行、七十七銀行、東日本銀行の5行が参画する共同利用システム「MEJAR」が、オープン系のシステム基盤を採用する方針を固めた。2021年4月には本番開発に着手しており、2024年1月にも稼働させる。将来的にはクラウド移行も視野に入れているという。

「メインフレームからの脱却」を狙う

 最大の目的はメインフレームからの脱却だ。2017年には日立製作所が同領域のハードウエア開発から撤退することを発表した。MEJARは富士通製メインフレーム上でNTTデータの勘定系パッケージ「BeSTA」を稼働させているが、対岸の火事ではない。国内ベンダーがメインフレームの開発から手を引く動きが続けば、ハードウエア供給側に価格を巡る主導権を握られてしまうという危機感がある。この点は、アプリケーションの開発・運用を担うNTTデータとも利害が一致したようだ。

 目先のメリットもあるという。横浜銀行は今回のオープン化によって、ハード費用や運用費を圧縮し、勘定系システムを巡るランニングコストを3割削減できると見込む。システム更改費用を勘案しても、コスト面で有利だとする。

 システム更改に当たっては安全性を優先させる。アプリケーションの仕様や言語に大きく手を加えない「リホスト」方式を採用した。OSは「Red Hat Enterprise Linux」、データベースは「PostgreSQL」に置き換えるものの、アプリケーション部分についてはBeSTAを温存するほか、COBOLプログラムは富士通の「NetCOBOL」に移行する。勘定系システムへの機能追加も凍結させるため、新旧システムを比較するだけで問題の有無を見極めやすい。

「MEJAR」陣営が推進する勘定系システムのオープン化
「MEJAR」陣営が推進する勘定系システムのオープン化
(出所:日経クロステック)
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 地方銀行による直近のオープン化事例として、静岡銀行が挙げられる。アプリケーションの刷新を伴う「リビルド」方式で臨んだが、2度の延期に追い込まれた。2021年1月に稼働に至ったものの、システム障害が続発した。MEJAR陣営は今回、リビルド方式はハードルが高いと判断したもようだ。