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 2021年3月19日未明に火災が発生したルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)の那珂工場(茨城県ひたちなか市)のN3棟。同社が目標としていた火災後1カ月より2日早い、21年4月17日に生産を再開した。生産再開当初は火災前の10%弱の生産能力だが、速いペースで生産能力を高める。同年4月末には50%の生産能力まで回復させ、同年5月末には100%、すなわち火災前の生産能力に戻れるとする。

21年4月17日に生産再開し、5月末には火災前と同じ生産能力にする
21年4月17日に生産再開し、5月末には火災前と同じ生産能力にする
右端は柴田英利氏。(出所:オンライン会見からキャプチャー)
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 21年4月19日午後に開いたオンライン会見で、同社社長兼CEO(最高経営責任者)の柴田英利氏は、「通常では考えられないような奇跡的な支援を受けて、予定よりも早く生産を再開できた」と述べた。会見では様々な質問に淡々と受け答えすることが多い同氏だが、今回は少し声が上ずっており、今回の件に対する強い思いを感じさせた。

 報道機関の質問を受けて同氏が挙げた奇跡の支援としては、「顧客の支援を受けて、建物自体の復旧は通常2~3週間かかるものが3日で済んだ」、「ある海外の装置メーカーは日本にいるフィールド・アプリケーション・エンジニアのほぼ全員が集結し、24時間体制で復旧作業にあたってくれた」、「別の顧客の了承を得てルネサスに優先的に装置の部品を回してくれた」などがあった。

生産再開後の那珂工場N3棟の内部
生産再開後の那珂工場N3棟の内部
稼働は始まっているが、同時に装置の設置や調整などが行われている。天井のすすは掃除がすんだものの、ウエハーを自動搬送する装置(オーバーヘッドトランスポーター)は20%が稼働していない。レールのない部分は人が運んでいるという。(出所:ルネサス)
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 ただし万事が予定通りとは言い切れない。今回の会見で見せた生産再開のスケジュールのグラフでは、100%の回復率を達成する日は21年3月30日の会見での説明よりも1週間から10日遅れるからだ。その理由を問われると柴田氏は「野心的な再開スケジュールを立てていた。装置や部品の搬入・調整などで、当初の予定を見直す必要があった」と説明した。

製品出荷の回復率が100%になる日は1週間~10日先になる模様
製品出荷の回復率が100%になる日は1週間~10日先になる模様
(出所:ルネサス)
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