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 ホンダは2021年4月23日、小型SUV(多目的スポーツ車)の新型「ヴェゼル」を日本で発売した。約7年ぶりに全面改良した新型車は先代車と同様、ハイブリッド車(HEV)とガソリンエンジン車を用意した。このうちHEVは、現行の小型車「フィット」と同じ2モーターのハイブリッド機構「e:HEV」の改良版を搭載し、低燃費と力強い走りを両立させた(図1)。

ヴェゼル
図1 小型SUVの新型「ヴェゼル」
(撮影:日経Automotive)
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 13年12月に日本で発売した先代車は、小型SUV市場を切り開いてきた“先駆車”と言える。日本における累計販売台数は45万台に達する。21年4月22日に開いた新型車の発表会見において、ホンダ常務執行役員で日本本部長の安部典明氏は、「既に1万7000台を受注した。月間販売計画(5000台)の3倍を超えており、当初の予想を上回った。受注台数の約9割はHEVになっている」と述べた(図2)。

安部典明氏
図2 ホンダ常務執行役員の安部典明氏
(撮影:日経Automotive)
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 先代車のハイブリッド機構は1モーターの「i-DCD」だったが、新型車に搭載したハイブリッド機構は前述したように、現行フィットのシステムの改良版である。ホンダ四輪事業本部事業統括部シニアチーフエンジニアで新型車の開発責任者である岡部宏二郎氏は、「新型車に合わせてシステムを最適化した」と言う(図3)。

岡部宏二郎氏
図3 新型車の開発責任者である岡部宏二郎氏
(撮影:日経Automotive)
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 先代車では、リチウムイオン電池パックを収納する「インテリジェントパワーユニット(IPU)」と、モーターを制御する「パワーコントロールユニット(PCU)」を荷室下に搭載していた。これに対して新型車では現行フィットと同様、PCUをエンジンルーム内に移した。これによって空いたスペースを活用し、IPU内の電池のセル数を現行フィットの48から60に増やした。セル数を増やしたことで、モーターの発生トルクを大きくした(図4)。

電池のセル数を増やした
図4 PCUの搭載位置を変えて電池のセル数を増やした
(出所:ホンダ)
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 新型車は現行フィットと同じ排気量1.5Lでアトキンソンサイクルのガソリンエンジンを搭載するが、最高出力をフィットの72kWから78kWに高めた。電気式CVT(無段変速機)には発電用と走行用の2つのモーターと、エンジンと駆動輪を直結するクラッチを搭載。走行用モーターの最高出力をフィットの80kWから96kWに高めた。これらの改良によって新型車は、先代車に比べて燃費性能と動力性能が向上した。