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 作業服大手のワークマンが、全国の店舗で利用する発注システムの刷新に乗り出した。日立製作所と共同開発したAI(人工知能)エンジンを使い、販売実績や在庫数、季節変動など多様な条件から最適な発注数を導く仕組みだ。

 商品の売れ行きに応じて2つのアルゴリズムを動的に切り替える「二刀流」の独自機能を実装し、発注業務を効率化。新システムの稼働によって在庫の最適化と業務負荷の軽減を狙う。

AIを使った自動発注システムを国内の全900店に順次展開する。扱う商品は約10万品目だという
AIを使った自動発注システムを国内の全900店に順次展開する。扱う商品は約10万品目だという
(出所:ワークマン)
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 ワークマンと日立製作所は2021年4月19日、AIを駆使した需要予測に基づく自動発注システムを順次導入すると明らかにした。発注の精度を高めることで、売れ筋商品の欠品による機会損失を防ぐ狙いがある。ワークマンはすでに2021年3月から2店舗で同システムの利用を始めており、効果が見込めることから全国900店に順次展開することを決めた。

既存システムでは売れ筋商品が欠品し機会損失に

 「既存のシステムでは十分なパフォーマンスを発揮できなくなっていた。売れ筋商品の発注が弱く、それが機会損失につながっていた」。ワークマンの長谷川誠スーパーバイズ部データ分析G兼需要予測発注G部長代理はこう語る。同社は現在、小売店向けシステムを手掛けるシノプスの自動発注システムを利用しているが、これを2021年11月までにすべて新システムに切り替える予定だ。

 既存システムで十分なパフォーマンスを発揮できなくなったのには理由がある。ワークマンは2018年に一般向けのアウトドアやスポーツ用の衣料を扱う「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」、2020年には女性向けアウトドア衣料の「#ワークマン女子」といった新業態を立ち上げ、アパレル商材の販売を強化しているのだ。

アウトドアやスポーツ用の衣料を扱う「WORKMAN Plus」など新業態の出店を強化している
アウトドアやスポーツ用の衣料を扱う「WORKMAN Plus」など新業態の出店を強化している
(出所:ワークマン)
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 「アパレル商材は売れ筋商品に購入が集中し、作業服を扱うワークマン業態とはまったく異なる売れ方をする」(長谷川部長代理)。WORKMAN Plusであれば、売れ筋上位20%のアイテムだけで売り上げの8割を占めるという。「少しずつ多様な商品が売れる作業服業態とはまったく異なるため、既存システムでは対応が難しくなっていた」(同)。

 同社は2031年3月期に店舗を1500店まで拡大する計画を掲げており、そのうちWORKMAN Plusが900店、#ワークマン女子が400店を占める予定だ。従来のプロ向けの作業服を販売する業態から、アパレル商材を広く扱う企業へとまさに変貌している最中であり、先んじてシステム面を対応した格好だ。「売れ筋商品こそ高精度な需要予測が必要になるため刷新を決めた」(長谷川部長代理)。