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 ブロックチェーンを使った新たな価値交換手段である「NFT」がブームの様相を呈している。デジタルコンテンツの新たな流通手段になり得るとみて、既にメルカリやGMOインターネットなどネット大手が参入を表明。基盤技術開発に向けた動きも広がっている。

 NFTブームは本物か、何が企業を引き付けるのか。

「インターネット、ブロックチェーンに次ぐ技術的な革命」

 「これまでメルカリで扱っていない財物を取引できるようになり、マーケットプレイスとしての機能を拡張できる」。メルカリの決済事業子会社、メルペイの青柳直樹社長は、新たに参入するブロックチェーン事業の意義をこう説明する。青柳社長は同事業を手掛ける新会社メルコインの社長に就任する予定だ。

メルコインの社長に就任する青柳氏
メルコインの社長に就任する青柳氏
(撮影:日経クロステック)
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 メルコインが手掛ける事業の1つがNFTを使ったデジタルコンテンツの取引サービスだ。NFTは「Non-fungible token、非代替性トークン」の略で、代替や分割が不可能なデジタルトークン(電子データの一種)である。

 具体的には一点もののデジタルアート作品やゲームのキャラクター、スポーツ分野の動画や選手の電子トレーディングカードなどの取引で使うことを想定する。NFTには複数の特徴があり、例えば「複製できない」「唯一無二で代替が効かない」「正しいデータであることやデータの所有権を証明できる」「発行した個数や回数を記録できる」といったものだ。ブロックチェーン上に存在する鑑定書と考えるとよいだろう。

 これらの特徴を生かし、「NFTに基づいて様々なデジタルコンテンツを売買できれば、クリエーターやファンのコミュニティー(集まり)がメルカリを使うようになり、取引をより活性化できるのではないか」と青柳社長はみる。

メルコインの事業戦略
メルコインの事業戦略
(出所:メルカリ)
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 GMOインターネットも2021年4月9日、NFTに基づくデジタルコンテンツのマーケットプレイス「アダム byGMO」を始めると発表した。アートや楽曲、著名なアーティストによる希少性の高いコンテンツを取り扱う。2021年夏にもサービスを始める計画で、コンテンツを日本円で売買できるようにするという。

 「インターネット、ブロックチェーンに次ぐ技術的な革命。IP(知的財産)ホルダーに適正な収益モデルをもたらせる」。同社の熊谷正寿会長兼社長はNFTの意義をこう語る。

「NFTはIPホルダーを復権させる」と語るGMOインターネットの熊谷社長
「NFTはIPホルダーを復権させる」と語るGMOインターネットの熊谷社長
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 サービス開始当初のアルファ版やベータ版ではアートや音楽といったコンテンツを中心に取り扱う。ただ、将来的には電子債権や不動産など「デジタル化できるもの全て」(熊谷会長兼社長)が対象になり得るとみる。

 エイベックスグループのエイベックス・テクノロジーズも2021年4月16日、デジタルコンテンツの流通をはじめとするNFT事業に参入すると発表した。